現役の保育士(幼保英検1級)です。
家庭内で自分の子どもだけを毎日見ているうちに、「もうすぐ1歳だけど他の1歳児はどんなことができるのだろう。発達の目安が分からない」と迷いが生じることもしばしばです。
今回は、保育園の0-1歳児クラスで実際に行っていること、子どもたちができていることを紹介しながら、1歳でできることや発達の目安について考察します。
実レポ!1歳でできること
育児書には、1歳児は「つみきを2つ以上積む」「スプーンが持てる」などと書いてありますが本当でしょうか?
現役の保育士として多くの1歳児と接している筆者から見ると、「実際はできている子は少ないのに」とか、「1歳はもっとできる」と思う記述が多々あります。
一般的な育児書で紹介されている1歳児の発達の目安を紹介しながら、実録の1歳児の姿を紹介します。
1歳1ヶ月~3ヶ月で小さな物がつまめる説
育児書的解説
「1歳1ヶ月~3ヶ月で親指と人差指で小さな物をつまみ、別の器に移すことができる。」
保育園実録「おおむね本当」
秋になると散歩で拾ったクヌギなどの大きいどんぐりを保育園に持ち帰り、室内でつまみ遊びをしています。
親指と人差指の2本指でできる子は少ないものの、中指も使って上手に別のお皿にどんぐりを入れています。
一方、新聞紙をつまんで破る遊びは個人差が激しいです。コツを掴んですぐできる子と2歳になっても、破れずに引っ張り続ける子とがいて面白いです。
1歳4ヶ月~6ヶ月で二足歩行説
育児書的解説
「1歳4ヶ月~6ヶ月で円滑な直立二足歩行が可能になりはじめる。自分から立ち上がって歩き出し、歩き続ける。」
保育園実録「1歳8ヶ月で立つこそすらしない子もいる」
歩行についても個人差が激しく、1歳を待たずに歩く子もいれば、1歳8ヶ月を過ぎても立とうともしない子も。
立ったり歩きはじめが遅くても心配し過ぎは無用です。1歳8ヶ月まで立たなかった子は5歳になった今、リレーで活躍していますよ。
1歳1ヶ月~3ヶ月でスプーンを持つ説
育児書的解説
「1歳1ヶ月~3ヶ月でスプーンを持って食べようとする。また、エプロンを自分でつけようとする。」
保育園実録「根気よく教えればできる」
育児書などの解説は言葉が足りていないと感じます。「根気よく何度も教えればスプーンを持てる」が正解です。
食欲がありすぎる子はスプーンを嫌がりいきなり食事に手を突っ込みます。保育園でも「食べるときはスプーン」と何度も伝えて、スプーンを持って食べようとするという動作までつなげています。
また、1歳1ヶ月~3ヶ月児が、いきなり”エプロンを自分でつけようと”などしません!
こちらも、「今すぐ食べたいという意欲がある」かつ「食事の前にはエプロンをつけることを学んだ」という2つの条件が揃ったからこそ、エプロンを自分でつけようとするのですね。
よって、うちの子スプーン持てないと思っても過度な心配は無用です。スプーンを持つ前に食べる意欲など諸条件が揃うことが大前提ですよ。
1歳4ヶ月~6ヶ月で一語文説
育児書解説
「1歳4ヶ月~6ヶ月で『マンマ』『アッタ』などの一語文を話し始める。」
保育園実録「個人差が激しい」
1歳半近くになる子は、保育園でも「(ご飯が)アッタ」「(布団を目の前に)ネンネ」などのお話をはじめています。
言語の発達については園児の保護者でも心配する方が多いですが、1歳台で何も話さなくても過度な心配は無用です。
3歳になって言葉を理解する力はある一方、意味のある単語が話せず、給食のおかわりも食べたい物を言えないので未だ指差しで教えてもらっている子もいます。
言語について心配であれば、1歳半検診や3歳児検診で言葉の発達の検査を行うと同時に発達相談ができます。
1歳10ヶ月~でVサインが作れる説
育児書解説
「1歳10ヶ月以降になると、Vサインが左右どちらの手でもできるようになる。」
保育園実録「Vサインできる子は少数派」
2歳近くなるとVサインができるという点は疑問です。保育園の2歳のお誕生会で「何歳になりましたか?」と聞かれて、2(Vサイン)を作れる子は3割くらいではないでしょうか。
大体指3本の3歳になっていますよ。
1歳7ヶ月~2歳で順番を待てる説
育児書解説
「1歳7ヶ月~2歳で友達と手をつなぐことができる。ジュンバン、ジュンバンと言いつつ待てるようになってくる。」
保育園実録「練習したから手をつなげる」「順番なんてほぼ守らない」
育児書はこちらも言葉が足りていなくて、「機嫌が良い・先生が見ているなど条件が揃った場合に、ジュンバンと言いつつ待てるようになってくる」が正解です。
1歳児クラスでは、順番など待てなくてお友達への噛みつきが発生するなど日常茶飯事です。2歳近くなるといつも順番を待てるようになってくるなどと勘違いしないでください。
一方、1歳児クラスでも年間の後半になると、お友達と手をつないでの散歩に挑戦しています。短い距離から練習していくうちに、お友達と手を離さずに上手に歩けるようになっていますよ。
まとめ
保育園の0-1歳児クラスで実際に行っていること、子どもたちができていることを紹介しながら、1歳でできることや発達の目安について考察してきました。
育児書は、保育の専門家が保育園などの集団生活にいる子どもたちの姿を根拠に執筆していることも多く、すべての子どもの生活環境を反映していないことに注意すべきです。
また、できるようになるまでに機嫌や練習など諸条件が揃うことが必要であることも是非知ってください。
よって、育児書に1歳なら◯◯ができると書いてあるのにうちの子はできないなどと心配し過ぎないでくださいね。
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