粉ミルクは母乳と同じ?「お母さんの母乳が最良」許可表示の歴史

現役保育士&資格マニアです。

いろんな種類がある粉ミルク、保育園の調乳室で調乳するたびに気になってしまうのがこの「許可表示」。
粉ミルクの缶には必ず記載されているものです。

許可表示
赤ちゃんにとって、健康なお母さんの母乳が最良です。
森永はぐくみは、母乳が足りない赤ちゃんに、安心してお使いいただけます。

「お母さんの母乳が最良」の許可表示はどのようにして生まれたのか、歴史を紹介します。

「お母さんの母乳が最良」表示とは

粉ミルクの缶にはメーカー問わず「赤ちゃんにとって、健康なお母さんの母乳が最良です。」の表示がはいっています。

「お母さんの母乳が最良」許可表示の歴史

母乳ではなく完全ミルク育児の方もいます。
粉ミルクの缶を見るたびに「お母さんの母乳が最良です。」の部分が目に入って気になってしまいますよね。
缶の一番目立つところに太字で書いてありますから。

粉ミルクは母乳と同じか

母乳が望ましかったと考えつつ物理的に母乳の出ない方は、この許可表示を見るたびに変に気落ちしてしまう方も多いのではないかと想像します。

一方、自ら完全ミルク育児を選択された立場の方は「今どきのミルクは優秀なのでミルクとは全く遜色ない」という会話をされます。
実際、次の厚生労働省のページによると「粉ミルクはあくまでも母乳の代替である」と明記されています。

「乳児用調製粉乳たる表示」の歴史

この許可表示、正式名称を「乳児用調製粉乳たる表示」と言います。

制定年度の正確なところは不明でしたが、厚生労働省のページによると、平成21年の食安発第0212001号というので検討されたようです。
その後も何回か改定されています。

「お母さんの母乳が最良」許可表示の正式名称

許可を受けるべき乳児用調製粉乳たる表示の範囲については、母乳代替食品としての用に適する旨が医学的、栄養学的表現で記載されたものに適用されるものとする。
平成21年の食安発第0212001号より抜粋

液体ミルクの扱い

時代代わり、粉ならぬ液体ミルクというものが登場しました。
「乳児用調製粉乳たる表示」は製粉乳の規定ですが、液体ミルクにおいてはこの規定はどうなったのでしょうか。

平成30年に「乳児用調製粉乳」及び「乳児用調製液状乳」用として規定改正の議論がなされました。

液体ミルク登場による規定改正の理由

液体ミルクも乳児用調製粉乳と同様の許可表示をすると決まったときの、議論の経緯を見てみましょう。

「男女共同参画・女性活躍の推進に向けた重点的取組事項について」及び「女性活躍加速のための重点方針 2017」において、母乳の代替としての新たな選択肢となり得る乳児用液体ミルクの普及実現に向けた取組を推進する必要があるとされている。
平成30年5月15日発行「乳児用液体ミルクに係る特別用途食品の許可基準設定について」より

「液体ミルク」の特別用途食品認定は「女性活躍推進」施策を達成したいためということのようです。

液体ミルクの信頼性が乳児用調製粉乳と同等となったという事実がまず先ではないんだ?

まとめ「気にする必要はないでしょう”母乳が最良”表示」

「お母さんの母乳が最良」の許可表示はどのようにして生まれたか歴史をご紹介しました。

「許可表示は政策実施の都合に合わせて作られた程度のもの」であり、母乳育児の方も完全ミルク育児の方も自身の選択に自信を持って、育児を楽しんでほしいです。

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