共働きの現役保育士です。
保育園への入園が決まると早く保育園に慣れてくれるかが気になってきますね。
今回は、現役の保育士の立場から、子どもが早く保育園に慣れるように家庭でできることを紹介します。
入園直後は慣らし保育
「慣らし保育」とは、子どもが保育園での新しい生活に慣れるまでの期間、滞在時間を短縮しながら保育する期間のことです。
年齢によって子どもが保育園に慣れるまでの時間は異なります。
よって、子どもの年齢や保護者の仕事の状況を考慮した上で、入園前に慣らし保育の予定を決めていきます。
慣らし保育の具体例
入園するとまず慣らし保育をして徐々に保育園の生活に溶け込めるようにします。
具体的には次のようなスケジュールを組むことが多いです。
0-1歳の慣らし保育スケジュール例
1日間 2時間過ごす
2日間 2.5時間過ごす
2日間 3時間過ごす(はじめての給食)
2日間 6時間過ごす(はじめての午睡)
2日間 7時間過ごす(はじめての午後おやつ)
2-3歳児以上の慣らし保育スケジュール例
1日間 2.5時間過ごす
1日間 3時間過ごす(はじめての給食)
1日間 6時間過ごす(はじめての午睡)
1日間 7時間過ごす(はじめての午後おやつ)
慣れが早い子だと1-2歳児で1週間程度、3歳児以上だと3日程度で慣らし保育を終えることがありますが、途中風邪をひいて休んだりとスケジュールどおりに進むことはまれです。
慣らし保育は予定通りに進まない
頻度は高くないですが、「慣らし保育を伸ばしましょう」と保育園の先生から打診されることがあります。慣らし保育が当初決めたスケジュールより伸びる要素には次のようなものがあります。
慣れていない
「保育園にいる間は常に泣いている」「水分補給すらできない」「給食が1口も食べられない」
何を基準に慣れを判断するかは保育園により異なりますが、丸一日保育園で安全に過ごせる状態ではないと判断した場合は、慣らし保育を伸ばすことになります。
また、慣れの判断は保育園により、また保育士個人によっても異なりますね。
体調不良で休んだ
例え慣れていなくても、慣らし保育を終えて通常保育に移行することがあります。
ただ、慣らし保育中に体調不良で連続で休んでしまったりした場合、慣らし保育の期間を延ばすことがあります。保育園を休むと覚えかけた保育園生活のリズムを忘れてしまいますからね。
先生が忙し過ぎる
人員配置に全く余裕がなく、新入園児への対応に割ける人材が全くいない場合、「まだ慣れていないので」などと理由を付けて、慣らし保育を引き延ばす保育園があるのも事実です。

1歳児クラスから入園。
全く慣れていないので、先生が一人付き切りで抱っこしてくれないと保育園で過ごすことすら無理
慣らし保育について詳しくは、下の記事で詳しく紹介しています。
合わせて参考にしてくださいね。
保育園への慣れの早さが決まる要素
保育園に慣れるのが早いのか遅いのかは、個人差があります。不安なく新生活に溶け込めるかを決める要素は次のとおりです。
保育園の体制
保育園に慣れるためには先生と園児とで信頼関係が築けることが必要です。
進級・新入園直後の4-5月は、行事としては入園式・保育参観を行う程度で、他の大きな行事は計画していないという保育園がほとんどです。
この理由は、進級・入園直後の園児と先生とでたくさん遊ぶことで、信頼関係を築くための時間を確保しているためです。

入園直後は先生といっぱい遊ぶ時間が必要なんだ。
新入園児と信頼関係が築けるかは、先生個人のスキルによるところもありますが、園児一人一人と向き合う時間が確保できるよう、保育園としての体制作りができているかに大きく依存します。
保育士数が不足していると、一人ひとりと信頼関係を築くための時間が確保できません。
不安感の強さ
新生活に慣れることができるかは、個人差が非常に大きいです。
同じ保育園の同じクラス内でも、1日目からおやつをパクパク、おもちゃでアクティブに遊ぶような子どもがいる一方、3ヶ月経っても泣き通しという子もいます。
新しい環境に対してどのくらいの不安を感じるのかも、保育園に慣れるまでの時間を左右します。

私は入園してから6か月泣きどおしだったけど、今は発表会でも全く動じない。クラス一の最強メンタルって呼ばれてる。
集団活動の経験
保育園生活自体がはじめての子と他の保育園への通園実績がある子とでは、慣れるスピードが違います。
また、きょうだいの有無によっても慣れる早さが違います。
不安感の強さの差とも関連しますが、集団活動を経験したことがある子は保育園入園後も慣れていくのが早いです。
体調の安定
体調が安定して保育園に毎日通えるからこそ、生活にも慣れることができます。
せっかく入園したのに体調不良で休んでばかりだと当然、慣れることができません。
保育園に早く慣れるためにできること8つ
家庭とは違う環境での食事に慣れておく
保育園では集団で給食を食べます。このため、外食や親戚のお家など家庭とは異なる環境で食事する経験をしておきましょう。
次のように保育園の給食で必ず行うことがあります。これらを入園前に一部でも良いので取り入れておくのも良い練習になりますよ。
- エプロンを付ける
- 手を消毒する
- 全員でいただきますの挨拶をする
(「お手々ぱっちん」と手を合わせ、保育士の「皆さんご一緒に」の合図で「いただきます」)
その他、給食の歌(給食・給食嬉しいな、お手々もきれいになりました♪)を歌う習慣がある保育園も多いですね。
家庭とは違う環境での昼寝に慣れておく
子どもが一人の家庭でのお昼寝では、常に音がない静かな環境で寝られるでしょう。
残念ながら、保育園でのお昼寝においては、途中で起きて泣き出す子もいるため常に静かというわけにはいきません。

隣のお友達、まだ寝られないってさ。泣いとるー。
家と違ってめっちゃうるさく感じる。
また、呼吸のチェックや先生たちが行う事務作業のため、家庭でのお昼寝環境よりは、室内を明るめにしていることが多いです。

カーテン半分あけてるよ。
明るいけど仰向けで入眠できる。
このため、少し生活音があったり、暗すぎない環境でのお昼寝をしておくことも良いでしょう。
一人で寝られるようにしておく
家庭で添い乳でないと寝られない場合は、添い寝やトントンなどをすれば一人で寝られるよう練習しておくと、保育園での午睡もスムーズです。
添い乳でないと寝られない子は、保育園でも寝るのが難しいです。

ママがいないと寝られないよう。
保育園では、年齢に応じて「抱っこ→ラック等でゆらゆら→布団でトントン→寝かしつけなし」というように、徐々に寝かしつけなく自分で布団で寝られるように練習していきます。

今、先生一人で4人を同時にトントンで寝かしつけしている。
手があと2本欲しいってさ。
このため、家庭でも抱っこしなくても寝られるように少しずつ練習しておくのもおすすめです。
市販のベビーフード以外も食べておく
給食が始まると「家では良く食べるのに保育園では食べない」という子が出てきます。
0歳児での入園の場合、給食だけ食べない理由のひとつが、家庭での離乳食はすべて市販品という場合です。
市販のベビーフードは、子どもが咀嚼しなくても楽に食べられるように過剰にとろみが付いています。
また、味付けも乳幼児が好む甘味が強めの味付けになっています。

ベビーフードは噛まなくても食べられるから疲れないよね。
いっぱい食べられるよ。

あまーい。大好きな味付けよ。
保育園の離乳食は、十分柔らかく調理してあるものの、市販品のような過剰なとろみが付いていません。
このため、給食になったとたん咀嚼できず食べなくなってしまうのです。

口動かさないと食べられないの?
こう、ベビーフードみたいに、勝手につるっと入っていってくれると食べるの楽なんだけど。
保育園の給食については、次の記事でも詳しく説明しています。
親子の信頼関係を深める
親子でしっかり信頼関係を築けている子は、登園時は泣いていたとしても15分も経てば気持ちを切り替えて遊びに集中することができます。
家庭内で不安要素があったり、親子の信頼関係を揺るがすような要因がある場合、保育園に預けられることでより不安感が増してしまいます。

ママやパパが不安を感じると、私にも伝播するのだ。
入園前も入園後も、スキンシップをしたり一緒に遊ぶ時間を確保して親子の信頼関係を深めていただきたいです。

時間の長さは関係ないぞー。
保育園は楽しいところだと伝える
保護者自身が保育園に対し、疑念や不安をいだいていると子どもにも伝わります。
そのためにも、保護者自身が信頼できる保育園を選ぶことが大切です。

ママ・パパが「やむを得ず預けなきゃ」「やむを得ずここの保育園」
って思っているの僕にも伝わってるよ。
そして、入園を決断した後は、保育園は楽しいところであると子どもに伝えていくことをおすすめします。
実際、すでに兄・姉が通園していて、弟・妹が新たに入園する場合、弟・妹は保育園に慣れるのが早い傾向があります。

お兄ちゃんが昨年卒園。
ママ・パパが笑って保育園に送り出してくれるので、私も安心。
これは、保護者自身が保育園を信頼しているからこそ、弟・妹も通園することになったということが子どもにも伝わっているからだといつも思います。
子育て支援センターなどに出向く
子育てにかかわる相談や助言などの援助を行うことを目的とした機関である「子育て支援センター」が各自治体ごとに存在します。
名称は様々で、子育て支援室や子育て支援ひろばなどという名前が付いていることもあります。
入園前に子育て支援センターを利用するメリットは、同月齢の子との交流の機会が得られることです。

0歳児の私は、お友達と一緒に遊ぶってことはまだしないけど、同じ部屋に同じくらいの年のお友達がいるって分かるよ。
なお、保育園内に設置された子育て支援センターでは、その保育園の先生たちが保育園でのスケジュールに近いかたちで運営していることがあります。
例えば、朝おやつが出たり、その保育園の子どもがやっている制作と同じものを作る機会があるなどです。

私の保育園では、子育て支援の一環で支援センターの運営もしているんだって。
支援センターの方は先生たちが持ち回りで運営に回ってるってさ。
このため、保育園内の子育て支援センターは、保育園生活について知るきっかけを作る目的ではおすすめです。


ミルクに慣れておく
0歳から保育園に入園予定で完全母乳で育てている場合は、ミルクに慣れておくことをおすすめします。

哺乳瓶はお家で使うものと同じものを保育園用にも持ってきてな。
保育園に入園してから初めての哺乳瓶だと、いきなりは飲めません。
保育園で使う哺乳瓶については、下の記事で詳しく説明しています。
違うブランドのミルクでも飲めるようにする
家では哺乳瓶でミルクを飲めるのに、入園してみると保育園では全くミルクが飲めなくなる子もいます。
一因として考えられるのが、ミルクの味が違うことです。
粉ミルクは各社成分はほぼ同じですが、特徴があり飲んでみると若干味や舌触りが異なります。
保育園入園にあたり、食事やミルクへの慣れが心配な子は、各社のミルクをパッケージにしたお試しセットなどでいろいろな味に慣れておくと良いでしょう。
保育園のミルクは普通のドラッグストアなどで購入する市販品です。
国内でもメジャーな、「アイクレオ・はぐくみ・ぴゅあ・ほほえみ・すこやか・はいはい」のいずれかのはずです。
まとめ
保育園への入園にあたり、子どもが早く保育園に慣れるように家庭でできることを紹介してきました。
保育園生活に慣れるスピードは、個人差が非常に激しいため周りの子とは比較せず、長い目で見ていくことが大切ですよ。
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