共働きの現役保育士です。
保育園や幼稚園の卒園が近づくと、年長クラスでは保護者同士で卒園記念品について打ち合わせするということも多いでしょう。
今回は、現役保育士の立場からもらって嬉しかったものやどのように贈呈するのかまで、卒園記念品について正直な胸の内を紹介していきます。
保護者からの卒園記念品とは
保護者からの卒園記念品とは、多くの場合、年長組の保護者から保育園の先生たちに贈るプレゼントや記念品のことです。
記念品の決定や贈呈の段取りは保育園により様々です。
卒園記念品が決まるまでの流れ
幼稚園と異なり、登園や降園時間がバラバラなのが保育園。
保護者同士で相談するといっても、皆でまとまって話す時間はなかなか取れません。
このため、次のような段取りで卒園記念品が決まっていくのが多いでしょう。
- 年長組の保護者でLINEグループなどを作る
グループを作るきっかけは兄姉が卒園生で、一度卒園を経験している保護者が作ってくれることが多いでしょう。 - 記念品を決める
LINEグループ上のアンケートやコメントなどで意見を収集し決めていく方法などです。 - 集金する
卒園までの間に参観や保護者会など全員が集まれる機会がある場合は、そのときに集金します。
一人当たり1,000円から2,000円が相場でしょうか。 - 記念品を購入する
購入品だけでなくアルバムなどを制作するという保育園もあるでしょう。その場合は、保護者のうちの誰かが作ったり、集まって作ったりなどの作業が発生します。
実際に贈る記念品については、次項以降で詳しく紹介します。
手作りの卒園記念品ってどうなの?
保育園の先生たちは卒園記念品として一人一冊、想い出の詰まったアルバムを制作します。
それとは別に、保護者から先生に向けて子どもたちの写真やコメントを入れたアルバムを手作りしてプレゼントするという保育園もあるでしょう。
こんな感じの寄せ書きアルバム(メッセージアルバム)に、子どもたちの写真や寄せ書きを書いていく感じです。

仕事あるのにプレゼント手作りとか大変過ぎません?
手作りの記念品って先生は嬉しい?
子供の写真がちりばめられたアルバムなどは、事務室などで全職員が見られるように共有していますよ。
心のこもったアルバムなどの記念品、とても嬉しいものです。
また、卒園しても筆者の場合は子どもたちの名前を全員覚えています。
でも、卒園の時期は次年度の担任発表も終わっており、卒園・進級まで通常保育をしながら新年度の準備をするという多忙な時期でもあります。
正直、アルバムを見ながら卒園児との思い出に浸るというより、新しいクラスの運営のことで頭がいっぱいかも・・
保護者に手作りは酷だと思っている
手作りといってもいろいろな手作りがありますね。
アルバムや写真のコラージュなどを例にすると、そもそも保育園の先生たちは保護者に手作りなど求めていません。
保育士は子どもたちの制作や卒園アルバムなどとにかく手作りが多い職種ですが、手作りすることがどれだけ大変かを身をもって知っていますから。
想い出動画を制作する場合でも、編集ノウハウを持つ特定の保護者にプロのスキルを無償提供させるのは誤りだと思います。
先生が嬉しかった卒園記念品
卒園記念品の選び方には3種類ありますよね。
1つが先生が個人的に使える物、2つ目が保育園宛てに贈り、子どもたちが使える物、3つ目が保育園の職員全員が受け取れるプチギフトです。
特定の先生が受け取る卒園記念品
年長の担任の先生を中心に、特定の先生への感謝の気持ちを卒園記念品として贈ります。
ただ、年長の担任だけだと「他の先生は?」となってしまうため、管理職にも贈ったりすることが多いでしょう。
年長の担任に予算の1/3、園長や主任、年長以下で担任をしてくれた先生に予算の2/3といった感じで割り振ります。
どの先生までにあげるのかは予算によりますね。
保育園宛てに贈る卒園記念品
特定の先生が受け取るのではなく、卒園児の後輩たちが使える物を卒園記念品とするパターンです。
保育室に置いてあるおもちゃや絵本などは、毎日子どもが使ってすぐボロボロになってしまいますが、それらを補充する予算がない保育園が多いです。
卒園記念品としていただけるとありがたいですね。

パンどろぼうの絵本。自分の手に取って読めて嬉しいな。
職員全員が受け取れるプチギフト
特定の先生が受け取る卒園記念品だと、どうしても年長の担任だけが脚光を浴びる形になります。
一方、保護者の立場から見ると担任ばかりが子どもに接しているように見えますが、実際は担任以外が保育にあたっている時間も長いです。
年長の担任の先生は自分だけ大きなお花やプレゼントなどをもらうことに恐縮しています。
「私だけ記念品をいただいてしまって申し訳ない」という気持ちになったりします。
給食室の職員や管理職、フリー保育士の先生など担任を持たない職員も卒園児のために頑張っていますからね。
プチギフトなど全職員が平等に同じ物をいただける方が、年長の担任の立場でも嬉しいですね。
特定の先生が受け取る卒園記念品のおすすめ
年長の担任や管理職、年長以下での担任など特定の先生が受け取る卒園記念品のうち、先生たちがもらって嬉しかった物を紹介します。
エプロン
保育園の先生の必須アイテムがエプロンです。
着る先生をイメージして子どもが選んでくれたエプロン、いただいて本当にうれしかったです。
キラキラボールペン
花束
進級や卒園のタイミングでいただく花束も嬉しかったです。
お花は普段の生活の中でなかなかいただくことがないですからね。
やっぱり特別感があります。
お花、嬉しいのですが問題は「誰がいつ買いに行くか問題」というのがあります。
お花は長時間置いておくことができないので、贈呈式の直前に購入することになります。
仕事後の時間に開店しているお花屋さんは少ないため、宅配サービスを利用すると良いですね。
大型トートバッグ
保育士のバッグはとにかく大きいのです。
筆者のバッグの中身はこんな感じ。
日案や週案などを保管するA4ファイル・持ち帰りの制作物・筆記用具・糊やテープなどの制作用具一式・楽譜2冊・水筒・ハンドクリームなどの身の回り品・ジャージなど衣類、などなど。
その他、30cm定規など長い物も保育士が良く使うアイテムです。
このため、どの保育士のバッグも大きい!重い!
キャンパス地の丈夫でかつ大容量のバッグはいただくと非常にありがたいですね。
ジッパーが付いているタイプのバッグも使いますが、こんな感じのジッパーなしのシンプルな大容量バッグだとどの保育士も重宝します。
A3以上サイズの制作物も入れられるので。
ハンドクリーム(香り抑えめで)
予算的にはハンドクリームは贈る側としても、ちょうどよいプレゼントですよね。
保育士の仕事は、保護者の方が想像するよりも掃除の時間が長い。そして、それらの全てでピューラックス(殺菌消毒剤、ほぼハイターと同じ)を使用。手袋をしていたとしてもめちゃめちゃ手荒れします。
頂く側としても、カバンに入れておけるハンドクリームはありがたいですね。
注意点としては、匂いがきついものよりも無臭に近いくらいのものが良いということです。
保育士は、子どもたちと近い距離でする仕事であるため、匂い付きのハンドクリームをしていると子どもたちに「何かにおいするー」と言われます。
匂いの他、保育園の先生は可愛らしいものが好きなので、こんなハンドクリームにはウケてくれると思います。
油性ペンセット
保育園の用具室には必ず置いてあるのが油性ペン「マッキー」。
制作物を展示するときのお名前書きにマッキー、お知らせの文章を書くのにマッキー、発表会の子どもの立ち位置をマーキングするのにもマッキー。
何本あっても何色持っていても困らないのがマッキーです。
極細タイプも太字サイズもどちらも良く使います。
マッキー太字タイプ。大文字など掲示物の作成によく使う。
水筒
保冷・保温共用の水筒もいただくと嬉しい物の一つです。
保育園内には自動販売機などありません。飲み物が買いたければ昼休みに園外に出ることになりますが、忙しくて園外に出ることなどほぼありません。
家から水筒にお茶などを入れて持ってきて、足りなくなったら園児も飲む麦茶サーバーから補充しています。
保育園の先生たちが使っている水筒は、夏場など水分補給を頻繁にしなくてはいけないときには、外遊びの時などに持って行きます。
このため、こんな感じの500ml程度の十分な量がありつつ、シンプルな形状の水筒が嬉しいですね。
自分の水筒で手がふさがってしまうと園児たちの万が一に備えられないため、水筒をエプロンのポケットに入れたりしています。
保育園宛てに贈る卒園記念品のおすすめ
特定の先生宛ではなく、保育園に対して贈る卒園記念品で嬉しかったものを紹介します。
絵本や図鑑
保育園に置いてある絵本や図鑑、めちゃめちゃ破れます。普通に読んでいても破れます。
保育園は基本的に十分な予算がない園が多く、筆者の勤務先でも保育士が自腹で買っている絵本も多数おいてあります。
絵本や図鑑は、保育園全体に対しいただけるプレゼントとしても嬉しいですね。
絵本や図鑑を贈るときは、在園児の各年令に合わせたものを入れると喜ばれるでしょう。
比率としては、年齢が高いほど本を読む頻度も、子ども自身が手に取って本を読む頻度も高まり損傷しやすいため、高月齢用の絵本の冊数を多めにするとなおよしです。
水遊び用品
プールは大勢の園児たちで使っていると、すぐ壊れてしまうので。
毎年壊れる割に、プールは購入品としては高額なのでいただくプレゼントとしては非常にありがたいのです。
プールの他、水鉄砲やじょうろなど水遊びグッズもおすすめです。
大型の場合、置き場所に困らないかつ準備が簡単なことがポイントです。
カラーボール
保育園に置いてあるもののうち、毎年買い足しているもののひとつがカラーボールです。
赤ちゃん用のボールプールに入っているのを目にしますが、保育園では運動会のお遊戯に使うこともあり、赤ちゃんから幼児までおなじみのアイテムとなっています。
ひびが入ったボールは安全のため廃棄しますし、お遊戯中に紛失してしまうことがあるので、運動会などのタイミングで買い足すのです。
三輪車
集団生活である保育園という場では、新しい自転車が1台だけあると取り合いになってしまうためです。
また、保育園にプレゼントするなら、こんな感じでいろいろ機能が付いていないシンプルな三輪車がおすすめです。
高さが調整できたりバーを付けられたりする三輪車もありますが、家庭ではできるそれらの調整が保育園ではできないためです。
木製おままごとセット
おままごとは保育園の定番の遊びのひとつです。
洋服保管用ボックスなどに大量の食べ物や食器が入っていて、園児たちが好きな物を出して遊びます。
一方、おままごとをボックスから出すときの音が「カラカラ~」。
すなわち、プラスチック製の100均などで売っているおままごとセットが大半なのです。
割れたりヒビが入った物は危険なので捨てて、数が減ってきたら限られた予算の中から100均の商品から買い足します。
本当はあたたかな木製のおままごとセットが良いと、保育士たちもみんな思っています。
卒園記念品でいただけると嬉しいですね。
なお、卒園記念品でおままごとセットを選ぶときのポイントが、一人で遊ぶ用ではなく大人数で遊べるものであるという点です。
キッチンカウンター1セットより、こんな感じで、食材・食器がたっぷり入ったセットの方がありがたいですね。
パズル
8ピース、20ピース、70ピースなど、様々な難易度があり、子どもたちが集中して取り組めるパズルも保育園では良く行う遊びです。
おおむね2歳児クラスから年長さんまで幅広く遊べるので、卒園記念品としていただけるとありがたいですね。
パズルが入っていたビニール袋はすぐ破けるし、ジッパーがないのでピースがすぐになくなってしまいます。
このため、パズルはジッパー付きのファイルバッグに収納していますよ。
リクエストを聞いて贈る
複数人でお金を出し合って購入するプレゼントの場合、保育園側に必要なものはないかとリクエストを聞いてから買う方法もおすすめです。
ブルーシートや模造紙など、保護者の視点では気が付かないニーズがあります。
子供が使っていたおもちゃ類
お金を出して買わなくても、子供が大きくなったり、卒園するタイミングで使っていたおもちゃやパズルなどを寄贈というかたちでいただくのはありがたいですね。
パズルなどは合同保育中の遊びとして人気がありますが、ピースがなくなったり折れたりするので、いただいても困りません。
注意点は特に大型のおもちゃの場合、保育園で必要かどうかを確認してから贈りましょう。
いくらありがたくても置くスペースが確保できない場合があります。
職員全員が受け取れるプチギフトのおすすめ
プチギフトの予算は様々です。職員一人当たり500円以内が相場でしょうか。
キャラクター靴下
保育園の先生の靴下、じっと見る機会がないかもしれませんが、キャラクターが描いてあるようなカラフルな靴下を履いている先生が多いのです。
理由は単に可愛いものが好きな人が多いのと、子供との距離が縮まるので履いているという理由など様々です。
旅行のお土産など先生同士で贈るプレゼントでも、可愛いキャラもの靴下は多いですよ。
特に、絵本の主人公たちをモチーフにした靴下は、毎日絵本に接している保育園の先生たちにはウケがいいです。
お菓子(個包装)
王道ですが、お菓子類は嫌いという人が少ない無難な選択です。
実際、量より質で選んでくださるような美味しいお菓子は、みんな喜んで食べています。
卒園記念品贈呈の場にいない職員もいるので、個包装だとありがたいです。
ボールペン
ボールペン、保育士の他、給食室の栄養士や調理師も常にポケットに入れています。
保育園の職員なら誰がもらっても困らないのでプチギフトにもおすすめですね。
お手紙
お金を出して買うものではありませんが、心のこもったお手紙。
これが今までいただいた中で一番うれしかったプレゼントかもしれません。
読ませていただいて、また一年頑張ろうと思いました。今でも大切に自宅に保管していますよ。
感謝状
卒園記念品贈呈の場で、職員全員に向けて感謝状を読み上げてくださった卒園生の代がありました。
心のこもった文面で職員一同、感無量で聞いていましたよ。
額縁に入れてくださっていたので、その後も保育園の玄関先に掲示させていただいています。
手書きだとより心がこもりますが、賞状用紙はOA対応になっているのでPC入力の文字でも大丈夫。
いただく方も嬉しい!
のし付きプチギフト
プチギフトながらひとつひとつに名前とメッセージが入れられるギフトもあります。
「お礼
保護者と共に子どもの成長を喜んでいただき、ありがとうございました。
〇〇保育園 第〇回 卒園生保護者一同」
このようなメッセージがギフト一つ一つに入れられます。
土曜日であれば、土曜保育に対応している保育士や調理の先生たちもいますからね。
卒園記念品はいつ贈呈する?
卒園記念品の贈呈。どのタイミングで渡すべきか迷いますね。
年長児のいる全家庭から集金して購入している場合、その贈呈もほぼすべての家庭が集まっている場が望ましいでしょう。
謝恩会がある保育園の場合は謝恩会で、ない保育園の場合は卒園式の後にというパターンが多いでしょうか。
卒園記念品の贈呈について打診しておく
なお、卒園式の後に贈呈する場合は、事前に園長や主任などに少し時間をもらいたいと打診しておくと良いですよ。
卒園式の後も何事もなかったかのように通常保育が始まる保育園。
卒園式終了と同時に片付けと通常保育ができるように、ロッカーの移動などが始まります。
短時間で贈呈する
新年度も近いので卒園式後にミーティングや研修、児童票の整理などの予定を入れている保育園も少なくありません。
このため、段取りをあらかじめ決めておき、スムーズに渡せるようにしましょう。
卒園記念品贈呈の流れ
贈呈の流れは保育園により様々ですが、一例を挙げると次の通りです。
- 司会が先生たちと保護者を集める
保護者(ママ)
卒園記念品の贈呈をさせていただきますので集まってくださーい
といった形です。司会の保護者はその年の役員などが多いですね。
- 贈呈者・受け取る先生・渡す物を指示する
保護者(ママ)
では、〇〇さん、〇〇先生に〇〇を渡してください。
贈呈者は子どもが渡せるようなものであれば、子どもが担うことが多いですね。
- 渡し終わったら、園長か年長の先生がお礼を交えつつ締めてくれるので待つ
園長先生などが「ありがとうございました」といった体で締めてくれます。保育園としては毎年の恒例となっているようなところがあるので、慣れたものです。
心配いりません。
まとめ
現役保育士の立場からもらって嬉しかった卒園記念品について紹介してきました。
保育園の先生の立場としては、記念品をいただけることなど全く想定していません。
それよりも卒園式を無事に終えられるのか、卒園児たちを無事に小学校に送り出せるのかだけを気にかけています。
卒園に向けての活動は本当に無理のないことだけで大丈夫ですよ。
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