「モンスターペアレント」と聞くと、一部の極端な人をイメージするかもしれません。
しかし、保育園の現場では「そこまでではないけど対応に困る」
というケースも含め、さまざまな保護者がいます。
今回は、実際にあったモンペ的な事例とともに、現場で起きているリアルなケースを紹介します。
※この記事に登場する園児・保護者・保育士などの会話は、一般的に見られるケースをもとにしたフィクションです。
保育園のモンペってどれくらいいる?

モンスターペアレント(Monster parent)またはモンスターペアレンツとは、学校などに対して自己中心的かつ理不尽とされる要求をする親を意味する。
元小学校教諭の向山洋一が命名した造語。略してモンペア・モンペともいう。
モンスターペアレント、略してモンペ。

モンペって思われていたらどうしよう。
と心配する方もいるかもしれませんが、”THEモンペ”と言う人は実際にはほぼいません。
体感ではごくまれにお会いするかどうかといったところです。
実際にいたモンスターペアレントの事例
我が子しか見えていないタイプ
発表会などの観覧席の席順は、事前に子どもにくじを引いてもらうなど公平な方法で決めることが多いですね。

うちの子は列の右の方にいるのに、私の席は左の方だったから真正面から撮影できなかったんだけど。
それなのに、「くじ引きの席からうちの子が見えにくかった」などと文句を言う方は、保育士としても困ってしまいます。
このように、先生たちから一癖あると思われているお家の場合は、”〇〇さんの観覧席からお子様が見やすいかチェック”が行われることがあります。
先生たちは「やれやれ」と思っているのが正直なところです。
何でも保育園のせいにするタイプ

保育園の手指消毒のせいで手荒れがひどくなっちゃってー。
「子どもが手荒れしてしまったのは保育園での手指消毒のせい」とわざわざ連絡帳で説明してきた保護者の方。
いやいやいやいや・・家庭でクリームを塗るなりしてあげてください。
こちらの方は「体重が減ってしまったのは、保育園の給食を食べないせい」との連絡もくれています。
「お子様、野菜全般に加え肉もご飯も食べず、家でも同様のようですが、保育園で無理にでも食べさせた方が良かったですかあ?」とでも言いたくもなりますよね。
園のルールを無視するタイプ

仕事が忙しいのでお迎えにはいけません。

うちの子には荷物を持たせないでください。
このように、園のルールよりも自分の事情を優先し、例外対応を当然のように求めるケースもあります。
保育園は集団生活の場であり、一人の特別対応が全体に影響してしまうため、
対応に苦慮する場面です。
実は多い「モンペではないが困る保護者」
モンペとは思いませんが、先生たちが困惑してしまう保護者からの要望というものが存在します。
紹介するのは、いずれも実際に結構な頻度でいただく要望です。
うちの子は昼寝を短くしてください
保育園のお昼寝は長いですよね。
昼寝(午睡)の長さは保育園によっても年齢によっても異なりますが、0-2歳児クラスであれば、2時間から3時間以上といったところでしょうか。

うちの子はだけ昼寝を短くしてください。夜、家で寝なくなると困るんで。
夜、子どもに早く寝て欲しいのにいつまでも起きているのは保育園でのお昼寝のせいとして、「昼寝を短くしてほしい」と依頼されるパパ・ママ、かなり多いです。
実際、保育士をしつつ子育て経験がある筆者でも保育園のお昼寝は長いと思いますしね。
確かに長いのですが、お昼寝(午睡)がないと午睡中に行うべき事務仕事や休憩の時間が全く取れなくなってしまうのです。
例えば、1人昼寝中に起こす対応をしたら、その代わりにクラス全員分の連絡帳が未記入となってしまうなどの弊害が発生します。
昼寝を短くというのは、「気持ちは分かるが言われると困ってしまう」そんな要望の代表格ですね。
保育園での昼寝については下の記事でも紹介しています。


うちの子を叩いた子の名前を教えてほしい
お友達同士のトラブルで怪我をした場合、怪我をした方の保護者には経緯を伝えるものの、怪我をさせた子の名前は伝達しないという方針の保育園が多いです。
理由は、保育士は子どもを朝お預かりしたままの状態で引き渡しする原則のもと職務にあたっているので、子どもがどのようなトラブルを起こしたとしても、止められなかったのは保育士の責任と捉えるためです。

うちの子を叩いた子の名前を教えてほしい。
自分の子が叩かれたというショックのあまり、このような要望をされる方、一定数いらっしゃいます。
ただ、叩いた子の側にも本人にはどうすることもできない要因がある場合があります。
このため、安易に叩いた子の名前を口外するのは控えています。
乱暴した子の名前を伝えた場合、この後叩いてしまった子はどうなってしまうのかと想像すると、言葉に詰まってしますね。
今日は体調が悪いのでうちの子だけ室内遊びにしてほしい
クラス全員が外遊びのときに、一人だけ室内遊びにすることは難しいのが現実です。
現状の保育士配置基準では、例えば1歳児クラスで園児5人に対し保育士1人です。
室内遊びの子のために保育士が1人つくと、例えば10人クラスの場合、もう一人で9人の子どもの外遊びを見ることになります。
9人の安全を確保するのは現実的に難しいです。

今日は体調不良なので、うちの子だけ外遊びさせないでほしい。
このような要望をされる方がたまにいますが、体調不良なら自宅保育して欲しいと保育士たちは思っています。
病児保育に対応する保育園以外は体調が良いことが登園条件となっているため、体調が悪いから一人だけ特別対応をして欲しいと要望されると困ってしまうのです。
苦手なお友達と席を離して欲しい
3歳以上になるとお家で「◯◯くんはいじわる」とか「◯◯ちゃんに嫌いっていわれた」などお友達との関わりについての悩みをお話してくれるようになりますね。
また、保育園では座席を決めてグループごとに給食を食べるなどの活動をしています。
座席はお当番活動がどのグループも滞りなく行えるかや、障がいを持っている子への配慮などを加味して決めます。

うちの〇〇ちゃんは、〇〇君が嫌いと言っているので席を離して欲しい。
このように、保育園内での子ども同士の人間関係を心配し過ぎる方もまれにいますが、保育園以外でもこれから苦手な人と関わらなくては生きていけないのが現実。
子どもの個人的な希望を叶えるのは難しいと言わざるを得ません。
ただ、隣の席同士の子どもでトラブルが絶えないなどの場合は、保育士の判断で席替えをすることがありますよ。
紙の連絡帳を廃止するなどIT化を進めて欲しい
保育園を利用する保護者には毎日PCとにらめっこという職業に就いている方も多く、豊富なITリソースに囲まれているのが当たり前という感覚でしょう。

紙の連絡帳を廃止してアプリ化して欲しい。
このため、このように要望する方も多いです。
筆者個人的にも、この要望には「ですよねー!!!」と同感するしかありません。
一方、予算不足に悩む保育園の数は相当数にのぼり、驚くかもしれませんが、今どきパソコンが買えないという状態の園が多いです。
これでは保育園からの連絡帳を記入するのにパソコンの前に保育士たちが長蛇の列・・という笑えない状況に陥ります。
紙の連絡帳は嫌だと保育士自身も思っています。
保護者からツールの導入を要望されると、まずそのリソースは?と困惑してしまいます。
先生たちが自前で作ったDVDをコピーして欲しい
保育園の様子を収録したDVDなど先生たちが好意で作成することもあるでしょう。

保育園で作ったそのDVD、コピーして配布してもらえませんか。
ただ、それをコピーして欲しいという要望は対応が難しいのが現状です。
保育士から見れば、写真撮影やDVDの制作は本来の業務外でしぶしぶ対応しているのが本音です。
写真販売やビデオ撮影は、保育を仕事にしている保育士にとって優先順位を下げたい業務の筆頭と言えます。
実際、保護者の楽しみを充実させるための業務に割く時間の余裕がないです。
DVDを親族の方にも見せたいなどの気持ちは分かりますが、保育士としては子どもとの関わりに多くの時間を割きたいためこのような要望は困ってしまうのが正直なところです。
室内でもトレーナーを着せて欲しい
「このトレーナーを着せて欲しい」など、保育室内での服装について細かく指定されると保育士としては困ってしまうことがあります。

〇〇ちゃんは寒がりなので、室内に移動したらこのトレーナーを。
外ではこの靴下を履かせてください。
保育室内は子どもたちの様子や活動内容を見て空調を調節していますが、子どもたちは大人より体温が高いこともあり、保護者から指定されたとおり厚着をすると明らかに不適切な場合も。
一方、Webカメラ等で保育室内が常時見られる状態になっていると、子どもが過ごしやすい衣服に調節したいが、お迎え時に「トレーナーを着せて欲しいとお願いしたのにやってない」などと言われるかもしれないし・・と困惑します。
保育園内での服装については、実際にそこで過ごす園児や保育士に調整をお任せいただきたいのです。
鼻セレブで鼻を拭いて欲しい
鼻水が止まらないという子どもも多く、保育園のティッシュは秒でなくなっていきます。
頻繁に鼻を拭くと鼻が赤くなるので、鼻セレブで拭いて欲しいと自分の子のロッカーに常備する方がいます。

鼻セレブ置いておいたので、うちの子の鼻を拭くときはそれで拭いてください。
鼻セレブ、良いのですがその子が鼻水を垂らしたときだけ、わざわざロッカーに鼻セレブを取りに行く暇がどうしてもありません。
保育園という場所は集団生活であり、個別対応にはとことん弱いのです。
▶トラブルを避けるための入園準備チェック
モンペは一部、でも他人事ではない
ここまで紹介したようなケースは、いわゆる「モンスターペアレント」と呼ばれる極端な例です。
実際には、このような保護者はごく一部であり、
多くの方はそこまでではありません。
ただし注意したいのは、
「モンペではないけれど、保育士が困ってしまう行動」
は、どの家庭でも起こりうるという点です。
保育園の仕組みやルールを知らないまま行動してしまい、
結果として先生を困らせてしまうケースは決して珍しくありません。
実際の現場では、
・悪気はないけれど対応に困る
・よくあるけど負担になる
といった「グレーゾーン」の保護者がほとんどです。
また、行動によっては
「正直、関わり方に悩む」
「対応が難しい」
と感じられてしまうケースもあります。
知らないうちに距離を置かれてしまうこともあるため、
一度客観的に見てみることも大切です。
まとめ
誰でも言いがちだが先生たちが困ってしまうありがち要望を紹介してきました。
保育園に要望を出すことは全く悪くありません。
保育園の仕組みや生活が保護者に詳細に伝わっていないために、保育園と保護者との間で誤解が生じているケースが多いと感じます。
保育園の先生と保護者との関係については、次の記事も参考になります。


