保育士として働いています。
「家では全然昼寝しないのに、保育園では毎日寝ている」
「先生はどうやって寝かしつけしているの?」
「抱っこ?トントン?無理やり寝かせている?」
こんな疑問を持つ保護者はとても多いです。
実際の保育園では、寝かしつけは“特別な技”というより、毎日の生活リズムや集団生活の流れを利用しています。
この記事では現役保育士の経験をもとに、
- 保育園の寝かしつけ方法
- 0歳〜年齢別の対応
- 家では寝ないのに保育園では寝る理由
- 自閉症や発達特性がある子への対応
- 昼寝しない子への対応
を詳しく解説します。
保育園ではなぜ全員寝る?家では寝ない子も昼寝できる理由

「保育園のでは、基本的に全園児が寝ています」というと、
保護者は

家では昼寝しないのに?!
と驚きます。
実際、保育園では比較的スムーズに入眠する子が多いです。
理由は主に3つあります。
活動量が多い
保育園での活動量は家庭での活動量より多い傾向があります。
午前中は散歩・外遊び・制作など活動量が多く、昼食後には体力をかなり消耗しています。
家庭より疲れているため眠気が来やすいです。
毎日同じルーティンだから
「保育士は、どのようにしてたくさんの子どもを少人数で保育できるか」の答えは、毎日の活動がルーティン化されていることにあります。
給食からの流れを見ても、
給食
↓
排泄
↓
絵本
↓
消灯
というように、流れと時間はほぼ毎日同じです。
毎日同じ。
子どもは「次は寝る時間」と覚えます。
周囲の子が寝ている影響が大きい
集団効果はかなり大きいです。
周り10人が布団で静かに横になれば、自分も自然と横になります。
これは家庭では再現しにくい部分です。
保育園での寝かしつけはどうしてる?実際の流れ
保育園での寝かしつけの手順は、年齢によって違いますが共通しているのは次のルーティーンです。
1. 給食を食べる
給食を食べたら「ごちそうさま」のご挨拶をします。
2. 排せつ・おむつ替え
おむつの年齢の子はおむつを替え、トイレで排せつする年齢の子はトイレに向かいます。
3. 昼寝準備
おおむね3歳児クラス以上になると自分で布団を敷きます。
それ以下の年齢の場合は、一人の先生が給食の片付けをしつつ、もう一人の先生が子どもたちを自由遊びさせながら布団などを敷いたりします。
4. 読み聞かせなど
給食の後、お腹を落ち着け入眠しやすくするためにも一呼吸。
手遊びや読み聞かせなどをします。
眠くて仕方がない子は個別対応で布団を敷き、先に寝てもらいます。
0歳児などでは特に読み聞かせの時間を設けず、すぐに昼寝をする場合が多いです。
5. 室内消灯
「おやすみなさい」の挨拶と共に室内を消灯します。
ただし、午睡中の呼吸チェックが年齢によって5分毎・15分毎に義務付けられているため、真っ暗にはしません。
カーテンが半分しまっている程度なので、家庭での昼寝よりもずいぶん明るいです。
6. 個別寝かしつけ
0歳・1歳児の場合は、個別にトントン・・としたり、寝かしつけ時間をずらしたりと個別に寝かしつけをします。
2歳・3歳児クラスになると、一部寝かしつけが必要な子もいますが、多くの子は寝かしつけなしで入眠できるようになります。
年齢別|保育園の寝かしつけ方法
保育園の寝かしつけは、全員同じ方法ではありません。
0歳と3歳では生活リズムも体力も違うため、寝かしつけ方法も大きく変わります。
保護者からすると「保育園ってみんな一斉に寝かせるの?」と思うかもしれませんが、実際は年齢に合わせた対応をしています。
0歳児|一人ひとり違うので個別対応が基本

0歳児クラスは最も個別対応が多い年齢です。
月齢による差が大きく、生後数か月の子と1歳近い子ではできることが全く違います。
そのため、
- 眠くなる時間に合わせて寝る
- 抱っこで寝かしつけ
- トントン
- おしゃぶりやタオルなど安心材料を活用
- 午前寝・昼寝・夕方寝など複数回睡眠
など、一人ひとりに合わせます。
0歳児では「12時になったから全員昼寝」はほぼ不可能です。
また、家庭で抱っこ寝・添い寝・添乳などが習慣になっている場合、入園直後は保育園でも抱っこが必要になる子がいます。
ただし保育園は集団生活のため、長期間ずっと抱っこ寝を続けるのは難しいのが現実です。
徐々にトントンや布団で寝る練習へ移行していくことが多いでしょう。
関連記事:
▶ 0歳で保育園入園するときの準備
1歳児|トントン+ルーティン化が中心になる
1歳児になると昼寝時間がある程度固定され、
給食
↓
排泄・おむつ替え
↓
絵本
↓
消灯
↓
昼寝
という流れができてきます。
この頃から保育士は、寝る流れを作る「自立と習慣化」を重視します。
実際によく行うのは、
- 胸や背中を優しくトントンする
- 布団に横になる声掛け
- オルゴールや静かな音楽
- 部屋を暗くする
- 決まった挨拶(おやすみなさい)
などです。
1歳児はまだ遊びたい気持ちが強く、眠くても起き続けようとする子もいます。
そのため「寝ようね」ではなく、
「頭をお布団につけよう」
「ゴロンしてみよう」
など、小さな行動を促す声掛けをすることも多いです。
関連記事:
▶ 保育園入園「昼寝しないと退園になるってほんと?」
2歳児|寝かしつけなしで眠れる子が増えてくる
2歳児になると、自分で布団へ行き、そのまま眠れる子が増えます。
ただし個人差はかなり大きく、
- 5分で寝る子
- 毎日トントンが必要な子
- おしゃべりが止まらない子
- 眠いのに寝たくなくて泣く子
など様々です。
保育士は寝かしつけというより、
「静かな雰囲気を作る」
「眠れる環境を整える」
ことを優先します。
また、この頃はお友達との関わりも増えてくるため、周囲の子の影響も大きく、
みんな横になる
↓
自分も横になる
↓
気付くと寝る
という流れがよくあります。
家庭では寝ない子でも、保育園では意外とすぐ寝る理由のひとつです。
3歳以上|寝かしつけより“習慣”で寝ることが多い
3歳児クラス以降は、寝かしつけをほとんど必要としない子が増えます。
保育園によっては、
- 自分で布団を敷く
- 静かに横になる
- 入眠
までを自分で行います。
一方で、体力がついて昼寝を嫌がる子も増える時期です。
その場合は無理に寝かせるより、
- 横になって休む
- 静かに絵本を見る
- 周囲を起こさない遊びをする
などへ切り替えることがあります。
また年長児になると、「昼寝をなくす園」もあります。
昼寝がなくなる小学校入学後の生活に備える目的で、秋〜冬頃から午睡終了する保育園もあります。
関連記事:
▶ 保育園で昼寝しない子への対応
保育士が実際にやる寝かしつけ方法
身体をトントン
赤ちゃんの寝かしつけ方法の王道がトントンです。
トントンの正式名称はありません。
保育士も「〇〇ちゃんトントンだね」といった具合で使っています。
2歳児・3歳児クラスでも入眠が難しい子にはトントンすることがあります。
トントンの場所は、背中・お尻・太ももなどと言われていますが、保育園では乳幼児突然死症候群(SIDS)への対応のため上向きで昼寝をするということが徹底されています。
このため、胸のあたりをやさしくトントンすることが多いでしょうか。
4人同時トントン
家庭では、トントンをするとき子どもの寝顔をずっと見ながら1対1で続けていることでしょう。
非常に残念ですが、保育園では1対1でトントンできるシチュエーションは多くなく、1人の保育士が3-4人同時にトントンしていることも多いです。

イメージが伝わるか微妙ですが、保育士が4人の布団の中央に座り、両手を広げて4人順番に「トントントントントントントントントントントン・・」と続ける感じです。
手の届く範囲に4人の布団を敷きます。
おやすみなさいのごあいさつ
1歳児クラス以上になると昼寝に入る前に全員で「おやすみなさい」のご挨拶をしたりします。
「〇〇組さん、おやすみなさい」といった形です。
ご挨拶をすると子どもたちは自分で自分のお布団に向かい、ゴロンと横になっています。
ご挨拶をすると寝かしつけが早くなるかどうかは不明ですが、毎日ご挨拶をするので、「ご挨拶→布団に移動→横になる」というルーチンの習慣化には役に立っているようです。
抱っこ
家庭では添乳で寝かしつけしている場合、保育園でも添乳は無理でも抱っこをしないと寝られないという子がいます。
このような場合は、寝かしつけは抱っこになることが多いです。
ただ、保育士一人で抱っこできるのは1人までです。おんぶもするとすれば2人が限度でしょう。
一人を抱っこしたら他のお友達はどうなるの?放置?という状況になってしまうため、抱っこでの寝かしつけは早く卒業したいのが本音です。

サクラちゃんばっかり毎日抱っこで寝られてずるい!
入園前に断乳をお願いする保育園も多いと思いますが、このような理由からです。
保育園は集団生活の場。全員を平等に扱うためにも「うちの子だけ抱っこ」をという要望に沿うのははなかなか難しいのです。
保育園入園の準備をするなら、家庭でも添乳や抱っこではなくトントン程度で寝られるよう練習をしておくと入園後がスムーズです。
0歳で保育園入園する場合の準備については、下の記事をご参照ください。
オルゴールをかける
オルゴールの曲をかけることもあります。
保育園では0-2歳児の小さな子のクラスは12時までには昼寝に入っている一方、体力のある3-5歳児クラスではしばらく室内遊びや絵本読みをして遅めの昼寝となります。
このため、0-2歳児の小さな子たちは「おやすみなさい」をした後も、周辺がかなりざわざわしています。
家庭とは比較にならないくらい保育園の昼寝環境はノイズが多いと思います。
オルゴールは入眠を促すというよりは、ノイズを消すみたいな意味で使っていますねえ。
頭をお布団に付ける声掛け
トントンやオルゴールの前に、入眠のためには頭をお布団に付けられていることが大前提。
おやすみなさいのご挨拶をしても、いつまでも横にならない子に対しては、「〇〇ちゃん、寝ましょう」ではなく「〇〇ちゃん、頭を布団に付けよう」と声をかけることがあります。
発達特性がある子の寝かしつけ
保育園は児童福祉施設。
自閉症など様々な困難をかかえた子も通園しています。
保育士もあの手この手で寝かしつける手立てを探っています。
個別スペース対応
他のお友達を並べて布団を敷かずに、カーテンなど使って簡易的に作った個別スペースに布団を敷くことがあります。
目から入る刺激を減らし、より落ち着いた環境を整えるという目的です。
活動量を増やす
他の園児が入眠した後も、しばらく運動してから布団に向かうなどです。
他の子はすでに昼寝中なので廊下で静かにできる運動、バランスボールやトランポリンなどをしますよ。
無理に寝かせないことも
お昼寝できるよう対策をしても、どうしても眠れないこともあります。
そんなときは絵本を広げるなど静かに過ごしながら、他の子のお昼寝が終わるまで待ちますよ。
発達特性がある子の場合は特に、これだという方法はなく、「この先生だとスムーズに入眠できる」とか「昨日は全く寝ないが今日は寝る」とか本当に試行錯誤です。
寝かしつけをしても寝ない子への対応は
保育園では寝つきが悪い子や、昼寝を嫌がる子もいます。
ただし無理に寝かせ続けるわけではありません。
年齢や発達、生活リズムによって対応は変わります。
詳しい対応や「怒られる?」「無理やり寝かせる?」については、こちらの記事で紹介しています。
▶保育園で昼寝しない子への対応|先生はどうしてる?
入園前に家庭でできる昼寝準備
入園後しばらくは生活リズムの変化で寝つきが悪くなる子もいます。
ただ、家庭で少し準備しておくと保育園生活へ慣れやすくなることがあります。
添乳・抱っこ卒業を少しずつ進める
家庭で毎回、
「抱っこしないと寝ない」
「添乳がないと眠れない」
状態だと、入園直後は苦戦することがあります。
保育園では集団保育のため、一人だけ長時間抱っこ対応を続けるのは難しいからです。
もちろん入園までに完全卒業する必要はありません。
ただ、
抱っこ
↓
トントン
↓
隣で見守る
など少しずつ移行できると、保育園生活がスムーズになることがあります。
関連記事:
▶ 0歳で保育園入園するときの準備
寝るルーティンを作る
子どもは「次に何が起こるか」が分かると安心しやすいです。
例えば家庭でも、
絵本
↓
トイレ(おむつ替え)
↓
消灯
↓
おやすみ
など毎日同じ流れを作ると、「寝る時間」と理解しやすくなります。
実は保育園でもほぼ同じ考え方で寝かしつけています。
特別な寝かしつけ技術はなく、習慣の力が大きいと感じます。
断乳タイミングは焦らなくて大丈夫
「入園までに断乳しないとダメ?」
と不安になる保護者もいます。
実際には園の方針や子どもの月齢によります。
0歳児では授乳継続しながら通園するケースもありますし、1歳前後で断乳を勧められる園もあります。
不安がある場合は入園前面談で保育士へ相談すると安心ですよ。
よくある質問
保育園では無理やり寝かせる?
基本的に無理やり寝かせることはありません。
昔は「絶対昼寝」が強い園もありましたが、現在は子どもの発達や個人差を考慮する園が増えています。
ただし、
- 布団に横になる
- 静かに過ごす
- 周囲を起こさない
などのルールはあります。
眠れなくても休息時間として過ごすイメージが近いでしょう。
関連記事:
▶ 保育士は昼寝中に何をしている?
昼寝しないと怒られる?
昼寝しないこと自体で怒られることは基本ありません。
ただし、
- 走り回る
- 大声を出す
- 他児を起こす
などがあると、静かに過ごせるよう促されることはあります。
「寝ない=悪いこと」ではありません。
家でも保育園と同じ方法を試せる?
一部は試せます。
特に効果が出やすいのは、
- 毎日同じ寝る流れを作る
- 寝る前の刺激を減らす
- 日中の活動量を増やす
です。
ただし、保育園では集団生活の影響も大きいため、家庭で完全再現は難しい場合があります。
「保育園では寝るのに家では寝ない」は珍しいことではありません。
まとめ
保育園の寝かしつけは特別な裏技ではなく、
- 毎日のルーティン
- 集団生活
- 十分な活動量
- 個別対応
の積み重ねです。
家では寝ないのに保育園では寝るのは珍しいことではありません。
また、自閉症や発達特性がある子、昼寝を嫌がる子には個別対応も行われています。
「うちの子だけ寝ないかも」と不安な場合も、入園後に意外とすんなり寝るケースは多いですよ。

