保育園で昼寝をする理由2つを現役保育士が解説「退園はありえない」

保育園で昼寝がある理由
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共働きの現役保育士です。

  • 保育園で昼寝をすると家で夜寝なくなる
  • 保育園の昼寝はいらない
  • 昼寝時間を短くして欲しい

保育園の昼寝(午睡)について、保護者の立場だとこんな感想を持つのではないでしょうか。

筆者の場合も、保護者の立場だと「お昼寝長過ぎ」と感じている一方、保育士の立場だと「昼寝短すぎ」と思っているのです。

今回は、保育園で昼寝がある理由について、保育士の立場から説明します。

保育園で昼寝をする理由

保育園での昼寝時間は、保育園により異なります。

また、年齢によっても異なります。
以下の参考記事で紹介していますが、0-2歳児クラスなら3時間弱、3歳児クラス以上なら2時間30分といったところです。

さらに、年長さんになると就学に備え、徐々に昼寝の時間をなくしていく対応をしている保育園もあります。

保護者の立場からすると、長いと感じる保育園の昼寝の目的は何でしょうか。

子どもたちの健康を保つため

保育園で昼寝をする一つ目の理由は、子どもたちの心身の健康を保つことです。

昼寝を挟むことで生活リズムを整え、集中力を回復させます。
子どもたちは日中、活発に遊んでいるため疲れが溜まりやすいです。
昼寝で疲労回復を図り、心身の健康を保ちます。

また、集中力を回復させて転倒などの事故を防ぐ目的もあります。
低年齢の子どもほど、眠くなることで集中力を欠きやすくなるため、ケガや事故につながる可能性が高まります。

先生たちが休憩・事務作業をするため

子どもたちの心身の健康を保つことが昼寝の目的のすべてでありたいところですが、実際はそうはいかないのが現実です。

次項で詳しく説明するとおり、昼寝の時間がないと先生たちは、一切の休憩も事務作業もできなくなってしまうというのが事実です。

お昼寝中に先生がしていること

園児の昼寝中に先生たちがやっていることを列挙します。

職員の休憩時間

昼寝時間に先生たちの休憩時間が含まれ、この時間に昼食をとったりします。

給食で介助が少なくてすむようになる2歳児クラス以上では、子どもたちの介助や手助けをしながら子どもたちの給食時間に先生たちも一緒に給食を食べます。

0-1歳児クラスでは、子どもの食事介助しながら自分も食事することは難しいため、園児の昼寝中に昼食を取ります。

保育士たちも労働基準法の元に勤務しているはずですが、実際は、子どもの昼寝の見守りや事務作業をしているので、休憩はしていないですね。

連絡帳の記入

保護者からの問い合わせなどに返答したり、様子を伝えるため連絡帳に記入をします。
お手紙など配布物があれば合わせて準備します。

職員会議や昼礼

昼礼ではなく朝礼の保育園もありますが、多くの場合、昼寝の時間に会議を行います。

複数担任のクラスでは1人が会議に出席し、残りの担任が他の事務作業をしながら午睡中の子どもの見守りを続けます。

週案や月案の記入

保育園では週案や月案、年間の予定などの記入・保管が義務付けられています。このような計画の作成や実行結果などを記入します。

午睡の記録をつける

誰が何時に入眠し、いつ目覚めたのか、昼寝中の気温や湿度など午睡中の状況を記録します。

午睡の記録は、内閣府が策定している「教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン」に定められているものです。

例えば、午睡チェックのポイントの一つに、次のような項目が挙げられています。

0歳児は5分間隔、1~2歳児は10分間隔、3歳児以上は15分間隔でチェックする

午睡の見守り

0歳児クラスなど小さい子のクラスでは、うつぶせ寝がないかなどを常時確認します。咳込みがある子どもはまくらをして頭を高くするなどの対応をします。

年少さん以上になるとトイトレが終了しパンツで昼寝をする子がいますが、トイレが近い子の場合は、途中で起こしてトイレを促すなどの対応をします。

翌日や翌週の保育準備

当日以降の保育で使う小物や道具などの準備をします。例えば、次週にゴム飛び遊びをしようと計画している場合に、ゴム紐の長さを測り準備するなどです。

制作活動の準備

保育室内や廊下に園児の作品が飾ってある保育園が多いでしょう。
これらの作品は月ごとや行事毎に貼り換えます。

制作活動を行うために、背景となる画用紙を切って準備したり、パーツを作っておいたりなどの準備をします。

また、制作活動は計画書に基づいて行うため、計画書の作成も合わせて行います。

眠れない子のケア

いくら昼寝の時間といっても、寝付けない子がいます。早く起きる子もいます。

眠れないのであれば、無理に寝る必要はありませんが、そのような子が立ち歩いて他のお友達を踏んでしまうなどの事故は避けなくてはいけません。

対応の方法は月齢によっても、保育園によっても様々です。寝なくてもよいから布団に横になっているよう促すとか、本読みなど静かにできる遊びをしていてもらうなどの対応を行います。

園内の飾り付け

保育園の玄関や階段の踊り場など、季節ごとに可愛らしく飾り付けられている保育園も多いでしょう。

また、園児の様子を伝える写真などを掲示している場合もあります。このような飾りを保育士は壁面と呼んだりしますが、これらを作る作業も昼寝中に行います。

研修の受講

保育士には様々な研修が義務付けられています。
このような研修は主に午睡時間を使って行われます。研修を受けている間は保育室を空けることになるため、他の保育士が午睡の見守りを代行します。

行事の計画・練習

運動会や発表会など保護者が観覧する行事はもちろん、誕生会や遠足・七夕・豆まきなど保育園には毎月様々な行事があります。

各行事の出し物の練習や企画などを昼寝の時間に行います。園児は寝ているので小さな声でコソコソ寸劇やダンスの練習をしていますよ。

就学前の年長児の保育

年長児クラスでは就学準備のため、入学の数ヶ月前から昼寝をなくす保育園もあります。このような場合は、他のクラスは昼寝中でも、年長クラスだけ外遊びや室内遊びなどの通常保育を行います。

このとき、年長クラスの担任が昼寝時間中の保育までしてしまうと、休憩や他の業務をする時間が一切なくなってしまうため、他のクラスの担任が交代で保育を受け持つなどして対応します。

保育園での昼寝はいつまでか

紹介したとおり、年長児の場合、1月以降は昼寝をなくすことで、昼寝時間がない小学校生活とのギャップを埋めていく対応をする保育園も多いです。

逆に言うと、年長児の途中までは昼寝があることになります。

ただし、0歳児と年長児が全く同じ昼寝時間ということはありません。
年齢が高くなるほど給食の後に遊びの時間や絵本読みの時間を取って、昼寝時間を短くするようにしていることが多いです。

保育園では昼寝をしないと怒られるか

昼寝の時間がはじまると聞こえるのが次のような保育士たちの声です。

2歳児クラス以下

  • 「〇〇ちゃーん、ゴロンの時間でーす」
  • 「〇〇くーん、”シー”でねんねですよ」

3歳児クラス以上

  • 「〇〇ちゃーん、お布団に頭付けてー」
  • 「お昼寝の時間はしゃべりませーん」

保育園で昼寝をせずに怒られている様子であると疑っているのであれば、若干誤解があります。

保育士たちは、事務作業のため昼寝中に保育室をどうしても空けなくてはいけない場面があるため、起きていても立ち歩いてはいない状態を維持したいと考えています。

多くの保育園では、起きていても布団の上で静かにできていれば先生たちは何も言わないはずです。

怒られるほどの保育園は、起きている子により昼寝中の事務作業の時間を1分でも失うと、業務が回らなくなるほど多忙な職場だと考えられます。

昼寝をしない子に対し保育園の先生たちがする対応については、以下の記事で詳しく説明しています。

昼寝ができないと退園になる?

昼寝ができないという理由で退園になることはありません。

逆に昼寝ができないため退園をすすめてくるような保育園は、自ら退園・転園すべきです。

昼寝ができずに退園となる保育園は、職員の採用や配置に大きな問題を抱えている園だと判断できます。

まとめ

保育園で昼寝がある理由について、保育士の立場から説明してきました。

入園直後には昼寝ができないのは当然のことです。

お友達と一緒に毎日を過ごすことで、だんだんと昼寝をするというリズムができてきます。

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