共働きの現役保育士です。
下の記事で紹介したとおり、筆者の勤務園では年間4-5人程度何らかの理由で退園しています。
理由は引っ越しが大半でしょうか。
そんな退園した園児のうちの一人、サクちゃん(仮名)との思い出を語ってみたいと思います。
0歳児クラスに入園
サクちゃんは0歳児クラスに秋ごろにやってきた。
色白で目がクリっとしていて、かわいいお顔立ち。
背が高い上に、歩き出すとつま先立ちなので他のお友達と比べても余計に背が高く見える。
年齢相応によだれかけをしているが、このよだれかけはその後、3歳を超えてもサクちゃんの必須アイテムになるであろうことはこのときは予想をしていなかった。
発達面については、いつもつま先立ちなのと目線を合わせようとしても合わなかったのが、少しだけ気になっていた。
1歳児クラスに進級
サクちゃんは偏食がすごかった。
野菜は食べない。
他のおかずに混ぜるとかパンの日はサンドイッチ風に挟むとか、あの手この手で頑張ったがやっぱり食べなかった。
自宅でも同様なようで、ハンバーグに刻むとか好きなものとあえるとか涙ぐましい努力をしていらっしゃる様子が連絡帳の「喫食状況」欄からも読み取れた。
「かぼちゃを一口食べました」とか
「全く食べてくれず悲しかったです」
など伝えてくださる日は、一緒に喜んだり同情もしたものである。
野菜も食べないが、他の食材は食べるのかというとそうでもなく、ご飯も数口、お肉も一口程度しか食べない。
どのようにしたら身体があんなに大きくなるのかとびっくりした。
髪を切ってきたママ分からず
とある日、17時ごろのサクちゃんのお迎え時間に朝とは違う髪型になったママが迎えに来た。
今日は有給でサクちゃんは保育園に預けて久しぶりの美容室に行ったということと推察する。
ちなみに、仕事休みの日に保育園を利用していいの?という議題については下の記事で紹介しているのでご覧いただければと思う。
さて、NEWヘアスタイルで登場したママを見てサクちゃんは何と言ったかというと・・
逆走!
ママが近づくと大泣き!
ママがハグをするとのけぞって大暴れ!!
サクちゃんは視力が弱いということではなく、日常生活も制作などの活動も他のお友達と同様にできている。
サクちゃんの中では「ママ=肩より長い黒髪で色白で目が大きい」と思っているのに
「肩より短い黒髪で色白で目が大きい」女性になったとたんに、それはママではないという思考をする子であるとそのときはじめて知った。
サクちゃんの発達面については他にもいろいろと気づきがあったが、ママやパパと直接的に伝えることはしなかった。
発達面で気になる様子などは伝え方が難しい。
ママやパパの方で気になることがあったとしても、それを受け入れられるかは別問題だ。
受け入れることが難しい状態にある場合、保育士が保育園での様子について情報提供しても逆に気分を害されてしまうことがある。
筆者もそうだが、発達については保護者の方から質問があれば言葉を選びながら保育園での様子を共有するけど、質問がなければあえて触れない保育士が多いはず。
拭いても流れてくるよだれ
0歳児はだれでもよだれが出る。
スタイ姿のかわいらしさは0歳児の特権。
2歳近くなってもスタイが欠かせない子もおり、個人差なので全く問題がないのだが、サクちゃんはよだれの量が尋常ではなかった。
2時間もすると洗いたてかというくらいびっしょりになるので、保育園にいる間も一日に3回はスタイを替えていた。
午前中1回、昼1回、降園前1回
さらにサクちゃんの場合、鼻水もすごく体調が悪いわけでもないのに常に鼻水が出ていた。
ティッシュで拭くのだがティッシュが何枚あっても足らず、1歳児クラスはティッシュの減りが半端なかったのを覚えている。
お家で医療機関を受診してくださったが、アレルギー性のものとのことであった。
転園した後、保育士同士でサクちゃんの話題になると「よだれと鼻水がすごかった」という代名詞が最初に出てくる。
2歳児クラスで転園
2歳児クラスに進級したサクちゃん。
その日は、シャボン玉に見立てた丸のシールを画用紙にたくさん貼ろうという内容の制作だった。
多くの園児は画用紙内にまんべんなく、丸と丸がほぼ等間隔になるようにちりばめて貼っていく。
ひたすら横一列に並べて貼っていくサクちゃん。
紙コップにシールで水玉模様を付けようという制作でも、同じように一列に貼っていたので、一列に揃っていないのは気持ちが悪いという感覚なのだろうと想像する。
2歳児クラスになっても偏食は相変わらずであったが、元気には過ごしていた。
保育園を転園する理由で多いのは引っ越しだが、3歳児クラス(年少)からは幼稚園に通うために退園する子もいる。
0-1歳児クラスの頃は、良く保育士に食事面の相談などを持ちかけていたり、保育園への感謝を伝えてくれていたサクちゃんママ。
2歳児クラスになり、サクちゃんのためには幼稚園の方が良いと思ったのかは定かではないが、サクちゃんが幼稚園に転園との話があった。
幼稚園のプレが始まる頃、サクちゃんは保育園を退園していった。
幼稚園転園後のサクちゃん
幼稚園転園後も公園などで何度かサクちゃんに会う機会があった。
4歳になり、トレードマークだったスタイがやっと外れていた。
久しぶりにママにもお会いした際、筆者の第一声は「サクちゃん、スタイがなくなってる!」であった。
幼稚園に行っても元気に過ごせているようだ。
以上、サクちゃんとの思い出を綴ったコラムでした。
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