地域限定保育士制度が一般化へ=全国どこでも実技試験なく保育士資格が取れる

おむいち

共働きの現役保育士です。

こども家庭庁が2025年10月1日施行にて地域限定保育士を一般制度化すると発表

国家戦略特別区域法に基づく特例措置である「地域限定保育士制度」を一般制度化し、特定の都道府県又は指定都市においてのみ保育士と同様に業務を行うことができる資格制度を児童福祉法上に創設する。

地域限定保育士の一般制度化/こども家庭庁

これまで大阪府や神奈川県などで限定実施されてきた「地域限定保育士」制度を全国の都道府県に展開するというものです。

地域限定保育士とは、地域限定保育士試験に合格すると、合格した都道府県限定で保育士として勤務できるという制度です。
登録後3年経過すると全国で勤務できるようになります。

今回のニュースでは、この地域限定保育士制度をどの都道府県でも展開できるようにするという法改正について報道しています。

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ニュースに対し保育士が現場目線で思うこと

地域限定保育士制度が全国展開されると、子どもたちやその親にはどのような影響があるのか、具体化して説明しましょう。

保育士資格の取得が簡単に

保育士になるには保育士養成施設を卒業するか、保育士試験に合格する必要があります。

そして、保育士試験で課されるのが学科9科目と実技試験です。

地域限定保育士の場合は、学科9科目だけ取得すれば実技試験は免除されます(講習の受講は必要)。

元々、地域限定保育士試験は、保育士不足であるにも関わらず保育士試験が1年に1回しかない現状を受け、待機児童問題の解消と保育士確保を目的として生まれた制度です。

園児(0歳)
園児(0歳)

たしかに、実技試験あると年に何回も試験開催できないよね。

これまで大阪府や神奈川県などに限定されていた制度を全国展開することで、保育士資格が取りやすくなるということですね。

園児(0歳)
園児(0歳)

3~5歳児のみの小規模保育園が運営可能に」って施策と逆行してるよね。
小規模保育園増やしたら先生もたくさん必要じゃん。

資格マニアには朗報

保育士試験の合格率は約23%です。

筆記9科目と実技(音楽・造形・言語から2分野選択)があるので、一発合格は難しく、平均して3~4回受験して全科目を合格し終えているということですね。

特に筆記は暗記すれば良く、勉強できる人ならだれでも合格できるのですが、実技は別物。

時間をかけて技能を取得しないと合格が難しいです。

園児(0歳)
園児(0歳)

チカせんせーは、音楽が合格できなくて実技試験だけ3回受けて合格したらしいよ。

園児(0歳)
園児(0歳)

マユせんせーは、造形でひっかかったらしいよ。
45分以内に人物3-4人と背景描いて、色塗りまで終えるとか無理ゲーじゃん。

地域限定保育士試験が全国展開するとこの実技試験をパスすることなく保育士証を手にすることが可能になるので、単に資格を集めるのが趣味な資格マニアの方には朗報ですねえ。

にわか保育士が増える

地域限定保育士は登録後3年経過後は、保育士の資格が与えられます。

ここで注目は、”3年の実務経験を経て”ではなく”登録後3年”という点です。

ペーパーテストをパスすれば、何もせず待っているだけで保育士証にバージョンアップできることになります。

園児(0歳)
園児(0歳)

実務経験を積まなくても、時間さえ経過すれば資格が取得できるって変。

これだと保育士養成校の卒業を経て保育士資格を得るのが馬鹿馬鹿しいと思ってしまう方もいるのではないでしょうか。

園児(0歳)
園児(0歳)

サクラせんせーは、歌ができなくて専門学校でたっぷり居残りさせられたらしいよ。

保育士のすごいところ10個」という記事で、”絵も描けてピアノ弾き歌いできるところがすごい”と書いたのですが、今後、絵もピアノも歌もお話も全くできなくても保育士を名乗れることになるので、記事の訂正が必要ですかねえ。

自身で保育士の資質を見極める必要あり

地域限定保育士制度の全国展開により、にわか保育士の急増が予想されます。

よって、筆者は、子育て関係のコメントを発信するインフルエンサーとか政治家とかが、”箔をつける”目的で地域限定保育士試験を利用するのではないかと予測しています。

園児(0歳)
園児(0歳)

国家資格なのに難易度が勝手に下がっていくの、今働いている先生たちは耐えられないよねー。

今後、「保育士資格を持つ〇〇〇さんによると・・」などという記事には要注意ですよ。

自身の目で、実務を知る本物の保育の専門家なのかを見極める必要があります。

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まとめ

この地域限定保育士制度をどの都道府県でも展開できるようにするという法改正についてのニュースについて、現役保育士の目線で解説してきました。

実技試験のために相当の年月を要した筆者としては、残念な気持ちになるニュースなのですが、皆様はいかがでしょうか。

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