共働きの現役保育士です。
日本の伝統的な行事や文化を園児たちに伝えていくことも保育園の使命の一つです。
2月の節分もそんな伝統的な行事のひとつ。
でも、怖い鬼が出てきて、鬼に豆を投げつけるという行為が「時代とずれがある」と感じる方も増えてきているのではないでしょうか。
今回は、保育園の節分について、実際に保育園でやっていることと存在する理由について解説したいと思います。
保育園の節分では何をやる?
節分の行事のやり方は保育園により異なりますが、筆者の勤務園ではこんな感じです。
1.お面や升を作る
1月になると節分に向け、0歳児クラスから年長クラスまで鬼のお面を作ります。
こんな感じで園児が被れるようになっています。
0歳児クラスは園児たちはシールを貼る程度でほぼ保育士が作っているのですが・・
節分イベント当日は、この手作りのお面を付けて参加するのですね。
鬼のお面を付けた鬼が、同類である鬼に豆をぶつけて退治するという、シュールな感じではあるのですが・・
ともかく、お面や升でイベント気分を盛り上げるということですね。
2.鬼登場 豆まき開始
保育園には運動会係・発表会係といったように係活動があり、クラスの担任活動とは別に、係の先生が様々な行事を仕切る役割を担います。
節分係もそんな係活動の一つ。
節分係の先生たちが、鬼のお面をかぶり、赤と青の全身タイツで鬼に扮します。
園児たちは、豆を構えて保育室で待機。鬼たちが各保育室を回り暴れていくという方式です。
退治する前に、節分の意味や、鬼は目に見えない邪悪な存在のたとえであるということは園児に説明してから行います。
でも、0歳児から4歳児くらいまでは節分の意味など理解しきれるはずもなく、突然登場した鬼に泣き叫ぶばかり。
年中・年長になると豆をぶつけて勇敢に戦う子も多く、中には鬼の正体を見破り「〇〇せんせーだー」と茶化してくる子も出てきます。
全身衣装で顔の一部すら外出していない鬼たちです。
でも、ちらっと見える靴下などから中の人を見破るのですって。
子どもの観察力はすごい!
3.年の数だけ豆を食べる
大豆は小さく誤嚥の可能性があるので、実際にぶつけるのは丸めた新聞紙やボールにしている保育園も多いでしょう。
また、年の数だけ食べる大豆も、年少クラス以上のみに限定していたり、そもそも食べないという保育園もあります。
保育園の節分が怖すぎてトラウマに?
鬼の中の人は普段慣れ親しんだ先生たちなのです。
また、節分の意味や目的を事前に説明しています。
それでも、園児の中には怖すぎて節分がトラウマになってしまう子もいます。
節分の日の朝、いつもは元気に登園する年長さんのヨウ君。
お母さんと離れずに大号泣。

絶対に行かない!家に帰る!今日は保育園いかないーーー!!!!!
節分が嫌すぎるようです。
また、昨今では保育園での虐待がよく報道されています。
節分の鬼のトレードマークは怖い顔と棍棒ですが、そのような姿を見せることすら心理的虐待だと言われそうですよね。
また、鬼にとは言え、人に豆をぶつけるのは乱暴、我が子に物を投げつけることを教えたくないという感覚の方も増えてきているのではないでしょうか。
保育園で節分をする目的は
保育士である筆者も、時代が変わることによる人の思考の変化と、伝統行事の意味のはざまで、節分の目的を見失いそうになることがあります。
保育園で、節分などの伝統的な行事を行う理由は、「保育所保育指針」にあります。
保育所保育指針とは、保育所における保育の内容や運営について定めたもので、保育園や保育士はこの指針を守らなくはいけません。
行事について保育所保育指針では例えばこのように示されています。
季節の行事などに興味や関心をもつ。
文化や伝統に親しむ際には、正月や節句など我が国の伝統的な行事、国歌、唱歌、わらべうたや我が国の伝統的な遊びに親しんだり、
保育所保育指針/厚生労働省
この保育所保育指針、直近では平成20年に改定されているものの、ほとんどの部分は昭和40年の策定から変更されていません。
確かに、昭和40年なら、日本の伝統的な行事や伝統的な遊びに親しむことが重視されていたとしても不思議ではないでしょう。
令和となった今は状況が違うようです。
今でも伝統行事に親しむことも大切ですが、ITの浸透・国際化などを受け、子どもたちも学ぶことや親しむべきことが増え、興味の範囲も変わってきています。
変わらぬ保育所保育指針と変わっていく時代の流れとのミスマッチにより、保育士すら「節分いる?」と思ってしまう状況に陥っています。
まとめ
保育園の節分について、実際に保育園でやっていることと存在する理由について解説してきました。
筆者の勤務園では当面は節分イベントを行うものの、怖くない顔の鬼のお面に変更するなど怖さ控えめにして実施する予定です。
節分の形も時代と共に変化していると感じる今日この頃です。
皆様の保育園ではいかがでしょうか。
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