共働きの現役保育士です。
別の保育園や幼稚園への転園を検討しはじめる理由は様々です。
- 年少クラス(3歳児クラス)に上がるタイミングで、小規模保育園から認可保育園に移る場合
- 保育園に通園していたものの幼稚園の方が良いと考えた場合
- 入園したにも関わらず不安要素があると考えた場合
今回は現役の保育士の立場から、転園は子どもにどのような影響があるのか、ストレスなく転園するために注意すべきことを紹介します。
保育園を転園するストレスを年齢別に
新しい保育園に転園する場合の子どもが受けるであろうストレスの原因を年齢別に紹介します。
0歳児のストレス源
0歳の発達段階(人間関係)
- 大人との信頼関係の構築が中心となる
- 大人と愛着関係を築こうとする
- 生後6か月頃になると人見知りが始まる
0歳で転園を希望するということは、入園した保育園に対し、不信感があるか急に転勤などが決まりやむを得ず引っ越ししなくてはならないなどでしょう。
愛着の構築が大切な0歳児の場合、転園先の新しい先生と愛着関係を築くまでが一番ストレスになるはずです。

いったい私は誰と愛着形成すれば良いのか・・・。
新しい環境への慣れについては次の記事で紹介していますので参考にしてくださいね。
1歳のストレス源
1歳の発達段階(人間関係)
- 保育士や友だちに親しみを感じるようになってくる
- 物をやり取りしたり、取り合ったりするなど友だちとのかかわりが生まれてくる
- 保育士の仲立ちを介して、友だちと一緒に遊ぶようになる
「保育士と愛着を形成するところからやり直し」になるのが1歳児の転園では大きなストレス源になりそうです。

人とは、人と出会ってすぐに別れてゆくものなのか・・。
保育園生活は経験済みだからと転園先の保育園の慣らし保育を短縮せず、十分な時間をかける覚悟が必要です。
2歳のストレス源
2歳から3歳までの子が在籍する2歳児クラスでの転園では、身支度のやり方などに慣れるまでが一番大きなストレスになりそうです。
身辺自立を目指し、頑張って身支度に取り組む2歳児クラスの子どもたち。実際、お着替えもとても上手なのですが、それも1歳児クラス時から積み上げてきたやり方に則っているからこそ。
2歳児では、お着替えの手順から服を置く場所や片付ける場所まで、毎日同じやり方でやっているからこそ上手に身支度ができるのです。

前の保育園ではおむつを捨てた後に新しいおむつを取りに行くってなってたじゃん。
ここでは、おむつを捨てるのは最後なのか?
混乱・・
他の園からの転園の場合は、新しいやり方を覚える必要がありますが、以前の園とやり方が異なることに戸惑ってしまいます。
3歳のストレス源
3歳児クラス(年少)とそれ以下のクラストでの大きな違いは、担任の先生が複数ではなく1人担任になることです。
子どもが自分で身の回りのことを行える前提でないと、1人では園児全員を保育することが到底できません。

見知らぬ先生と友達に囲まれ、急に「ぼっち感」ある。
もっと私をかまっておくれ。
身辺自立に不安がある場合は、複数担任制である2歳児クラスの後半から転園して、新しい園のやり方に慣れた後に3歳児クラスに進級するなど工夫することをおすすめします。
4歳-5歳のストレス源
4歳児クラス・5歳児クラスでの転園の場合は、新しい園の生活に慣れるまでに時間がかからないでしょう。実際、慣らし保育は3日程度で終える家庭が多いです。
ただ、お友達とのかかわりが大切になる年齢であるため、転園にあたり子どもの気持ちを聞いて、転園の必要性を理解してもらうことが大切だと感じます。

僕の意見は聞いてくれなかったとしても、説明はして欲しいのよ。
転園の意味も必要性も理解できるんだから。
4-5歳児クラスで転園していく子を見ると、お友達とのお別れが悲しいという気持ちがにじみ出ていて目頭が熱くなります。
ストレスなく保育園を転園するには
転園により子どもがストレスを受けることは事実ですが、またそれを乗り越える力もあるので過度な心配は不要ですよ。
転園する時期を選ぶ
子どもにかかるストレスを軽減するのなら、転園する時期の見極めが大切です。
時期を選べるのであれば、先生に余裕がありかつ行事の練習と重ならない4月・5月・8月・3月の転園がおすすめです。
例えば、2月に発表会をする保育園に通園中で、1月に転園したとします。
この時期は、発表会の練習が佳境を迎える時期と重なります。
発表会に出演する場合は、クラス全体の発表の仕上がりを気にして転園した子にも一生懸命に踊りや劇を教えるでしょう。
発表会の出演は見送る場合は、お友達の練習を見学するだけという状態に陥りかねません。

大人でいうところの「大きなプロジェクトが佳境に入っているところに放り込まれ、かつプロジェクトメンバーは見知らぬ人ばかり」ってところね。

「君は若手なんだからプロジェクトに食らいついてこい」って言われても、「んなアホな!」ってなるじゃん。
プロジェクト進行前にメンバーに加わりたかったよね。
保育園の年間行事については、次の記事が参考になりますよ。
また、転園時期の決め方については、次の記事に詳しくまとめています。
保育園に退園を伝える時期を選ぶ
転園する日までは退園予定の保育園で過ごします。
ストレスなく退園を迎えるために、保育園に退園することを伝える時期にも注意しましょう。
認可園の場合、退園する保育園にも市区町村から退園予定の連絡が入ることは意外と知られていません。
このため、市役所から保育園に連絡が行く前に自ら退園する旨を伝えるほうが良いでしょう。

誰しも人づてに聞くと気分悪いですね。
嘘をついても保育園には分かるので、自ら話をした方が気持ちよく転園できそうです。
転園先が確実に確保できてから伝えれば十分です。
連絡帳や口頭で担任の先生に伝えても良いですが、園長などの管理職に直接伝えられるとなお良しです。
先生たちにあまりかまってもらえないことを心得る
転園することが決まったら、退園する保育園の先生たちからは子どもが以前ほどはかまってもらえなくなることは心得ておきましょう。
0歳児から5歳児まで受け入れる保育園では、0歳児クラスのうちから年長になったときの育ちの姿を想定して保育にあたります。
退園すると先生たちは卒園式での姿が見られないことを残念がり、気持ちが折れてしまうようなところがあります。

先生たちには今までと変わりなく優しくしてもらってるけど、腫れ物に触らないように的な感じに接している感じ。
去っていく私は無用なトラブルは避けつつ、ひたすら無難に過ごしてもらいたいのですね。
退園する子もその他の子と同じ内容の保育を継続しますが、先生たちも当たらず触らずという対応になりがちです。
身支度の練習をする
小規模保育園から中大規模保育園へ転園する場合には特に、身支度の練習をしておくことをおすすめします。
中大規模保育園では着替えや食事など、身支度を自分で行うことに早くから取り組み練習します。
おむつ外れも早いです。
自立を促すという目的もありますが、全員の身辺介助をするだけの職員数がいないためという事情があります。

私のクラス18人もいるのよ。全員分のおむつ替えを先生が全介助でやってたら、おむつを替えるだけで30分かかっちゃう。
小規模園の方が職員配置的には手厚いです。
小規模保育園から転園してきた子を見ると、中大規模保育園で育ってきた子と比較しておむつ外れが遅い、身の回りのことができない傾向があると率直に感じます。

身支度が早くからできればいいってもんでもない。
大規模園と小規模園は一長一短。
自立が早い方が良いとは一概に言えませんが、転園した後周りのお友達が全員出来ていることが自分だけできないというのは少なくとも子どもにとってはストレスになりそうです。
小規模保育園と中大規模保育園の比較については次の記事でも紹介しています。
退園する保育園の悪口はNG
転園先の保育園でも入園前に面談があります。
退園する保育園の名前を聞かれることがありますが、仮に隠しても市役所等経由でいずれ転園先には通知されるので隠さないようにしましょう。
面談で退園する保育園について聞く一番の理由が、保育園での生活経験の有無を確認するためです。
同じ年齢でも、一度も保育園に通園したことがない子と通園経験がある子とでは、新しい保育園に慣れるスピードが違います。
このため、慣らし保育にどのくらいの時間をかけることが望ましいのか、どのように新しい環境づくりをしていくべきかを推し量るための質問ですので、正直に答えましょう。

近隣の保育園であれば「〇〇保育園に居ました」って伝えると、身支度はどのくらいできて、どんな風に遊ぶ習慣があるのか入園前に察しがつくって。
「あー、〇〇保育園からかあ」って先生たちが頷いている。
ただし、退園する保育園の悪口は控えましょう。
保育士の世界は狭いもので、退園する保育園は面談担当保育士が以前に働いていた園だとか、自身の子どもを登園させている園だとか、様々なところで繋がっています。
去り際が大切 感謝を伝えつつ明るく退園
退園理由がネガティブな理由だったとしても、退園する保育園には最後の挨拶は忘れずに行い、感謝を示しつつ退園しましょう。
前述のとおり、退園する保育園と入園先とが繋がっていることも多く、地域の保育園・幼稚園ではお散歩先の公園が同じということも多々あります。
Aくんが退園した後、公園にお散歩に行ったら、新しい保育園のお友達と同じ公園に来ていて「あー!Aくん、久しぶりだね!」とばったり遭遇することがよくあります。
また、登園最終日に贈り物をするなら、担任の先生だけにプレゼントをするのではなく、園の職員全員が食べられる数入った個包装のお菓子等がおすすめです。

保育園の先生は、転園する子が出るたびにメッセージカードとかを手作りしてるよ。
最終登園日に渡してくれるはず。
保育園では園長などの管理職、各クラスをヘルプするフリーの保育士、栄養士、調理師など様々な職員が子どもたちと関わっています。
贈り物をする場合は、担任以外の先生の分も用意しましょう。
忘れ物がないように
退園するときの荷物は登園最終日にすべてをまとめて持って帰るのではなく、退園数日前から持ち帰れるものは持って帰りましょう。
制作した作品や身の回り品など最終登園日以降に「返し忘れた」「持ち帰り忘れた」ということが意外と多くあります。
そうなると退園後にもう一度、保育園を訪れなくてはならないため、忘れ物がないように早めに持ち帰りをしましょう。
まとめ
保育園をストレスなく転園するための注意点を紹介しました。
転園する場合、新しい保育園での過ごし方にばかり注目しがちですが、退園する保育園で過ごす残りの日数も子どもにとっては大切です。退園する保育園ともめることは得策ではありません。
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