共働きの現役保育士です。
年少クラス(3歳児クラス)に上がるタイミングが転園のピークです。
理由は様々で小規模保育園から認可保育園に移るというのがひとつ。
また、入園したにも関わらず、子どもには合わない園だと感じたり、不安要素があるなどの理由により他の保育園に転園する方もいるでしょう。
市役所等との調整が済み転園先が確保できたとして、子どもが余計なストレスを感じず、揉め事等を起こさずにスムーズに転園するにはどうしたらよいのでしょうか。
今回は現役の保育士の立場から、ストレスなく転園するために注意すべきことを紹介します。
保育園を転園するストレスを年齢別に
新しい保育園に転園する場合の子どもが受けるであろうストレスの原因を年齢別に紹介します。
0-1歳
愛着の構築が大切な0-1歳児の場合、転園先の新しい先生と愛着関係を築くまでが一番ストレスになるでしょう。
慣れが早い子もまれにいますが、頑張っているだけで転園後しばらくしてから体調を崩したりすることがあるため要注意です。
新しい環境への慣れについては次の記事で紹介していますので参考にしてくださいね。
2歳
2歳から3歳までの子が在籍する2歳児クラスでの転園では、身支度のやり方などに慣れるまでが一番大きなストレスになりそうです。
身辺自立を目指し、頑張って身支度に取り組む2歳児クラスの子どもたち。実際、お着替えもとても上手なのですが、それも1歳児クラス時から積み上げてきたやり方に則っているからこそ。
2歳児では、お着替えの手順から服を置く場所や片付ける場所まで、毎日同じやり方でやっているからこそ上手に身支度ができるのです。
他の園からの転園の場合は、新しいやり方を覚える必要がありますが、以前の園とやり方が異なることに戸惑ってしまいます。
3歳
3歳児クラス(年少)とそれ以下のクラストでの大きな違いは、担任の先生が複数ではなく1人担任になることです。
子どもが自分で身の回りのことを行える前提でないと、1人では園児全員を保育することが到底できません。
身辺自立に不安がある場合は、複数担任制である2歳児クラスの後半から転園して、新しい園のやり方に慣れた後に3歳児クラスに進級するなど工夫することをおすすめします。
4歳-5歳
4歳児クラス・5歳児クラスでの転園の場合は、新しい園の生活に慣れるまでに時間がかからないでしょう。実際、慣らし保育は3日程度で終える家庭が多いです。
ただ、お友達とのかかわりが大切になる年齢であるため、転園にあたり子どもの気持ちを聞いて、転園の必要性を理解してもらうことが大切だと感じます。
4-5歳児クラスで転園していく子を見ると、お友達とのお別れが悲しいという気持ちがにじみ出ていて目頭が熱くなります。
ストレスなく保育園を転園するには
転園により子どもがストレスを受けることは事実ですが、またそれを乗り越える力もあるので過度な心配は不要ですよ。
転園する時期を選ぶ
子どもにかかるストレスを軽減するのなら、転園する時期の見極めが大切です。
時期を選べるのであれば、先生に余裕がありかつ行事の練習と重ならない4月・5月・8月・3月の転園がおすすめです。
例えば、2月に発表会をする保育園に通園中で、1月に転園したとします。
この時期は、発表会の練習が佳境を迎える時期と重なります。
発表会に出演する場合は、クラス全体の発表の仕上がりを気にして転園した子にも一生懸命に踊りや劇を教えるでしょう。
発表会の出演は見送る場合は、お友達の練習を見学するだけという状態に陥りかねません。
保育園の年間行事については、次の記事が参考になりますよ。
また、転園時期の決め方については、次の記事に詳しくまとめています。
保育園に退園を伝える時期を選ぶ
転園する日までは退園予定の保育園で過ごします。
ストレスなく退園を迎えるために、保育園に退園することを伝える時期にも注意しましょう。
認可園の場合、退園する保育園にも市区町村から退園予定の連絡が入ることは意外と知られていません。
このため、市役所から保育園に連絡が行く前に自ら退園する旨を伝えるほうが良いでしょう。
転園先が確実に確保できてから伝えれば十分です。
連絡帳や口頭で担任の先生に伝えても良いですが、園長などの管理職に直接伝えられるとなお良しです。
先生たちにあまりかまってもらえないことを心得る
転園することが決まったら、退園する保育園の先生たちからは子どもが以前ほどはかまってもらえなくなることは心得ておきましょう。
0歳児から5歳児まで受け入れる保育園では、0歳児クラスのうちから年長になったときの育ちの姿を想定して保育にあたります。
退園すると先生たちは卒園式での姿が見られないことを残念がり、気持ちが折れてしまうようなところがあります。
退園する子もその他の子と同じ内容の保育を継続しますが、先生たちも当たらず触らずという対応になりがちです。
身支度の練習をする
小規模保育園から中大規模保育園へ転園する場合には特に、身支度の練習をしておくことをおすすめします。
中大規模保育園では着替えや食事など、身支度を自分で行うことに早くから取り組み練習します。
おむつ外れも早いです。
自立を促すという目的もありますが、全員の身辺介助をするだけの職員数がいないためという事情があります。
小規模園の方が職員配置的には手厚いです。
小規模保育園から転園してきた子を見ると、中大規模保育園で育ってきた子と比較しておむつ外れが遅い、身の回りのことができない傾向があると率直に感じます。
自立が早い方が良いとは一概に言えませんが、転園した後周りのお友達が全員出来ていることが自分だけできないというのは少なくとも子どもにとってはストレスになりそうです。
小規模保育園と中大規模保育園の比較については次の記事でも紹介しています。
退園する保育園の悪口はNG
転園先の保育園でも入園前に面談があります。
退園する保育園の名前を聞かれることがありますが、仮に隠しても市役所等経由でいずれ転園先には通知されるので隠さないようにしましょう。
面談で退園する保育園について聞く一番の理由が、保育園での生活経験の有無を確認するためです。
同じ年齢でも、一度も保育園に通園したことがない子と通園経験がある子とでは、新しい保育園に慣れるスピードが全く違います。
このため、慣らし保育にどのくらいの時間をかけることが望ましいのか、どのように新しい環境づくりをしていくべきかを推し量るための質問ですので、正直に答えましょう。
ただし、退園する保育園の悪口は控えましょう。
保育士の世界は狭いもので、退園する保育園は面談担当保育士が以前に働いていた園だとか、自身の子どもを登園させている園だとか、様々なところで繋がっています。
去り際が大切 感謝を伝えつつ明るく退園
退園理由がネガティブな理由だったとしても、退園する保育園には最後の挨拶は忘れずに行い、感謝を示しつつ退園しましょう。
前述のとおり、退園する保育園と入園先とが繋がっていることも多く、地域の保育園・幼稚園ではお散歩先の公園が同じということも多々あります。
Aくんが退園した後、公園にお散歩に行ったら、新しい保育園のお友達と同じ公園に来ていて「あー!Aくん、久しぶりだね!」とばったり遭遇することがよくあります。
また、登園最終日に贈り物をするなら、担任の先生だけにプレゼントをするのではなく、園の職員全員が食べられる数入った個包装のお菓子等がおすすめです。
保育園では園長などの管理職、各クラスをヘルプするフリーの保育士、栄養士、調理師など様々な職員が子どもたちと関わっています。担任以外の先生にもきちんと気持ちが伝わることが大切です。
忘れ物がないように
退園するときの荷物は登園最終日にすべてをまとめて持って帰るのではなく、退園数日前から持ち帰れるものは持って帰りましょう。
制作した作品や身の回り品など最終登園日以降に「返し忘れた」「持ち帰り忘れた」ということが意外と多くあります。
そうなると退園後にもう一度、保育園を訪れなくてはならないため、忘れ物がないように早めに持ち帰りをしましょう。
まとめ
保育園をストレスなく転園するための注意点を紹介しました。
転園する場合、新しい保育園での過ごし方にばかり注目しがちですが、退園する保育園で過ごす残りの日数も子どもにとっては大切です。退園する保育園ともめることは得策ではありません。
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