共働きの現役保育士です。
日本生命と保育大手が「保育イノベーションコンソーシアム」なるものを創設するとのことです。
日本生命保険と保育大手など計5社が、保育士不足対策やDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するためのコンソーシアムを創設する。
こども家庭庁とも連携し、官民一体で環境改善を進める。
読売新聞オンライン
「保育イノベーションコンソーシアム」創設に関する日本生命の公式プレスリリース
ライク株式会社との資本業務提携および「保育イノベーションコンソーシアム」の組成について
今回は、保育イノベーションコンソーシアムに関する報道について、現役の保育士の目線からコメントしていきます。
「保育イノベーションコンソーシアム」とは
今回の報道やプレスリリースを、現役保育士という立場でフィルターをかけて要約してみましょう。
ざっくり要約すると、保育イノベーションコンソーシアムでは次のようなことに取り組むとのこと。
保育士不足解消に向け5社間で人材情報を共有
例:夫の転勤により保育士の妻が離職しても、転勤先にある提携社の保育園で勤務できるようにする。
事務作業をDX化し保育業務に専念できるようにする
プラットフォームを共有化し1社あたりの開発コストを引き下げる。
例えば、保育士と保護者がやりとりする専用アプリを開発し、欠席や保育中の体調悪化の際に、スムーズに連絡できるようにする。
人材仲介会社に対し手数料の引き下げ交渉
国が目指す保育所の「多機能化」を模索
例えば、空きスペースを使った学童保育などを検討する。
政府の補助金に関する情報を保育所に浸透
保育園が補助金を活用しやすいようにする。
ニュースに対し保育士が現場目線で思うこと
保育イノベーションコンソーシアム発足というニュースに対し、保育士が現場目線で思うことを書き連ねます。
保育士不足解消に向け5社間で人材情報を共有
「夫の転勤により保育士の妻が離職しても、転勤先にある提携社の保育園で勤務できるように」ってことだけど、保育士を続けたい人なら、自分にあった保育園を自分で探しますよね。
少なくとも筆者だったらそうします。
保育士不足が課題になっている昨今、わざわざ紹介してもらうまでもないわけで。
「転勤をきっかけにちょっと休もう」という保育士もいるはずですが、「引っ越ししたら〇〇保育園でどう?」って圧(?)をかける取り組みと解釈しました。

サクラ先生、保育士はもうやらないとか言ってたけど戻ってきた。
私たちはやっぱりかわいいんだって!
一度離れたって、戻ってくる先生も少なくないよ。
事務作業をDX化
保育士と保護者がやりとりする専用アプリを開発してくれるらしいけど、現場の現状とずれ過ぎている。
だってさ、アプリの前にパソコンがないのよ。
筆者の保育園の場合は、職員が20名近くいるのにパソコン3台よ。
うち1台は管理職専用だから、他の職員は使えないしさ。

ママが連絡帳はデジタル化して欲しいよねって言ってるけど、
そもそも保育園でパソコン見たことないよー。

おたよりなどは先生がパソコンで作ったやつだけど、保育園に2台しかないパソコンを順番待ちして作ってるか、家のパソコンで作ってるって。
タブレットだって、登園管理システム用とか英語教育用とか用途が決まっているものが4台支給されているだけ。
アプリのインストールができないようロックがかけてあって、職員が自分の判断で使いたい業務に活用することはできないようになってる。
アプリの開発という発案をする人って、自分の目の前に自分専用のパソコンがある状態で案を出しているので、そもそもパソコンがないっていう環境が想像できないのでしょうね。
アプリより前に、まずはITインフラの整備からでしょ。
人材仲介会社に対し手数料の引き下げ交渉
そもそも保育士人材がいないから保育士専門人材会社が収益を出せている。
仲介会社に引き下げ交渉ってメリットなさそう。
正直良く分からん施策。
保育所の多機能化を模索
空きスペースを使った学童保育などを検討するとのことだが、保育園内の空きスペースってどこにーーーーー?!!!
保育所設置基準ギリギリで設計されているから、空きスペースどころかスペース不足です。
空きスペースがある保育園ってどこ?

発表会では僕らのクラスに舞台を置くことになってる。
だから発表会前1か月間は、舞台の上とか廊下に布団敷いて昼寝。
ありえん。
他に部屋ないのー?
政府の補助金情報を保育所に浸透
保育園が補助金を活用しやすいようにするとのことだが、そもそも申請して初めて使える補助金って形での支給がおかしいでしょ。
一律で支給してくれればいい話。
補助金は中抜きの温床。
だから保育士の給与はいつまでも薄給なのです。

保育園の先生って、ほんと旅行とか行ってないよねー。
2泊以上の旅行した先生って年間何人?ってレベルだ。
まとめ
2025年2月~3月の保育関連ニュースより、日本生命と保育大手が「保育イノベーションコンソーシアム」創設というニュースについて、現役保育士の立場からコメントしてきました。
どんなコンソーシアムでも良いけど、現場を見てーというのが一番訴えたいことです。
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