「3~5歳児のみの小規模保育園が運営可能に」児童福祉法改正へ

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共働きの現役保育士です。

2025年03月20日、こども家庭庁が、3~5歳児のみを対象とする小規模保育事業の実施を可能にするための法改正に着手との報道がありました。

6~19人の定員で原則0~2歳のこどもを預かる「小規模保育事業」をめぐり、こども家庭庁は3~5歳児のみを対象とする小規模保育事業の実施を可能にする。今国会に児童福祉法などの改正案を提出し、2026年度からの施行を目指している。

福祉新聞/2025年03月20日版

3~5歳児のみの小規模保育園とは

現行の保育所設置基準では小規模保育園は、0-2歳児のみを対象とし、定員20人以下で設置可能となっています。

大規模保育園を設置する場合と比べ、省スペースで運営することが可能で、設置するためのハードルが低いのが最大の特徴です。

2025年03月20日の報道では、3-5歳児のみを対象とした小規模保育園を設置できるように法改正するとしています。

参考

ニュースに対し保育士が現場目線で思うこと

「3~5歳児のみの小規模保育園」というニュースに関し、保育現場の人間から率直にコメントをしてみます。

3~5歳児のみの小規模保育園 報道で抜け落ちていること

3~5歳児のみの小規模保育園に関する報道に関して、次のような声が挙がっています。

  • ビルの一角などの狭いスペースで3-5歳児は活動しにくい
  • 保育士不足を加速する

この2つの声については、報道を読んだ人が誤解している点があるので、少し補足したいと思います。

誤解:大規模保育園の方が保育室が広い

小規模保育園は保育室が狭く、大規模保育園は保育室が広いと誤解している方が多いようです。

現行の保育所設置基準では、保育室又は遊戯室の面積は、2歳児以上では1人につき1.98㎡以上の面積が必要となっています。

  • 保育室 1.98 ㎡/1 人
  • 遊戯場 1.98 ㎡/1 人
  • 屋外遊戯場 3.3 ㎡/1 人

1人につき1.98㎡って相当狭いですよね。大規模保育園は園児数が多いので保育室が広く見えるだけですね。

3~5歳児のみの小規模保育園の設置基準は今後検討されるはずですが、基準は大規模保育園と同等になるのではないでしょうか。

大規模保育園は大人数いるので保育室が広く見えるだけであり、小規模保育園だから保育室が狭いというのは誤解です。

園児(女の子)
園児(女の子)

外で遊べない雨の日とかは部屋でみんなで過ごすしかない。
せまーーーい。

園児(男の子)
園児(男の子)

鉄棒とか平均台とか、室内でも身体を動かせるように先生たちが工夫してくれてる。
それでも、僕ら25人いるんで部屋は広くたって動けなーい。

誤解:全国的に保育士不足

保育士不足が問題視されていますが、真の問題は、保育士不足の地域と定員割れするほどの過疎地域があるという2極化です。

・受け皿整備等により待機児童が減少する一方で、過疎地域などの待機児童が少ない地域では定員充足率(利用定員数に対する利用児童数の割合)が低下している状況
・定員充足率が下がることで、安定的な運営が困難になる施設や、統廃合等が必要となる施設が生じる可能性がある

令和6年度 全国こども政策主管課長会議/こども家庭庁

このため、過疎化が進む地域では小規模化しないと運営困難になる保育園が出ています。

今回の3~5歳児のみの小規模保育園設置の施策も、過疎化地域における人口減少対策が主目的なのですね。

それなのに報道では、「3-5歳児の保育所の選択肢を増やして・・」とか「保護者のニーズをくみ取り・・」などと、人口が多い都市に住む人に得かのように説明されています。

人口が多い都市(=有権者数が多い)のメリットを説かないと、施策は実現しませんしね。

園児(0歳)
園児(0歳)

「過疎化地域では運営困難な大規模保育園があるので、小規模化する必要がある」って報道すればよくね?

園児(0歳)
園児(0歳)

有権者数が多い都市部の人向けに理由を湾曲してくるのがまぎらわしー。

保育士が不足している地域と過疎化が進む地域の2極化という問題があるからこそ、現状では過疎化地域から都市部へ保育士がヘルプに行くという対策をしている保育園もあるのです。

園児(0歳)
園児(0歳)

なつきせんせー、四国から新幹線で来たんだってよ。
来週は関西の保育園に行くって。

園児(0歳)
園児(0歳)

何それ。ほぼ自宅にいられないじゃん。

まとめ

こども家庭庁が、3~5歳児のみを対象とする小規模保育事業の実施を可能にするための法改正に着手というニュースについて、現役保育士の立場からコメントしてきました。

子どもを預けられる施設については下の記事でも紹介しています。
あわせて参考にしてくださいね。

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