保育士として働いています。
「今の園で大丈夫なのかな?」「転園したほう良い?」と悩む保護者はとても多いです。
私は保育士であると同時に保育園児の母でもあります。
だからこそ、転園を考えることが決して間違いではないことを伝えたいのです。
今日は、私が実際に関わった“サクちゃん”(仮名)という園児との経験をもとに、
転園を迷う保護者に伝えたいことをまとめました。
0歳で入園したサクちゃん:最初の違和感
サクちゃんは0歳児クラスに秋ごろにやってきました。
色白で目がクリっとしていて、かわいいお顔立ち。
背が高い上に、歩き出すとつま先立ちなので他のお友達と比べても余計に背が高く見えます。
年齢相応によだれかけをしているが、このよだれかけはその後、3歳を超えてもサクちゃんの必須アイテムになるであろうことはこのときは予想をしていませんでした。
いつもつま先立ちなのと目線を合わせようとしても合わなかった点は気になっていたものの、この段階では、成長の幅のひとつとして見守るようにしていました。
1歳児クラス:偏食と変化への敏感さ
強い偏食
1歳児になってからは、偏食が顕著に。
野菜はほとんど食べず、肉も数口、ご飯も少量。
他のおかずに混ぜるとかパンの日はサンドイッチ風に挟むとか、あの手この手で頑張ったがやっぱり食べないサクちゃん。
自宅でも同様なようで、ハンバーグに刻むとか好きなものとあえるとか涙ぐましい努力をしていらっしゃる様子が連絡帳の「喫食状況」欄からも読み取れました。
「かぼちゃを一口食べました」とか
「全く食べてくれず悲しかったです」
など伝えてくださる日は、一緒に喜んだり同情もしたものです。
野菜も食べないが、他の食材は食べるのかというとそうでもなく、ご飯も数口、お肉も一口程度しか食べない。
どのようにしたら身体があんなに大きくなるのかとびっくりしました。
変化を受け入れられない
サクちゃんのお迎え時間は大抵17時ごろ。
ある日、いつものようにママが17時に保育室にお迎えにやってきました。
いつもと違うのは、ママの髪型だけが朝とは違うこと。
今日はママの有給で、サクちゃんは保育園に預けて久しぶりの美容室に行ったのでしょう。
さて、NEWヘアスタイルで登場したママを見てサクちゃんは何と言ったかというと・・
逆走!
ママが近づくと大泣き!
ママがハグをするとのけぞって大暴れ!!
サクちゃんは視力が弱いということではなく、日常生活も制作などの活動も他のお友達と同様にできています。
サクちゃんの中では「ママ=肩より長い黒髪で色白で目が大きい」と思っているのに、「肩より短い黒髪で色白で目が大きい」女性になったとたんに、それはママではないという思考をする子であるとそのときはじめて知りました。
ただ、サクちゃんの発達面については他にもいろいろと気づきがあったものの、ママやパパと直接的に伝えることはしませんでした。
保育士として迷ったこと:どこまで伝えるべきか
発達面で気になる様子などは伝え方が難しい。
ママやパパの方で気になることがあったとしても、それを受け入れられるかは別問題だからです。
受け入れることが難しい状態にある場合、保育士が保育園での様子について情報提供しても逆に気分を害されてしまうことがあります。
私もそうですが、発達については保護者の方から質問があれば言葉を選びながら保育園での様子を共有するけど、質問がなければあえて触れない保育士が多いはず。
だから私は、保護者から相談や質問があるまでは、観察を続けながらも必要な情報を丁寧に共有するというスタンスを取りました。
2歳児クラス:その子に合う環境を考え始めた
2歳児クラスに進級したサクちゃん。
その日は、シャボン玉に見立てた丸のシールを画用紙にたくさん貼ろうという内容の制作でした。
多くの園児は画用紙内にまんべんなく、丸と丸がほぼ等間隔になるようにちりばめて貼っていっています。
ひたすら横一列に並べて貼っていくサクちゃん。
紙コップにシールで水玉模様を付けようという制作でも、同じように一列に貼っていたので、一列に揃っていないのは気持ちが悪いという感覚なのだろうと想像します。
他の子とは違う発達の特徴がよりはっきり出てきたのです。
そして保護者の方とも相談しながら出た結論は、もっと合う環境があるかもしれないということ。
話し合いを重ねた結果、お家の方は幼稚園への転園を決断しました。
転園後の姿が教えてくれたこと
幼稚園に転園後も公園などで何度かサクちゃんに会う機会がありました。
4歳になり、トレードマークだったスタイがやっと外れていたのです。
久しぶりにママにもお会いした際、私の第一声は「サクちゃん、スタイがなくなっていますね!」でしたよ。
幼稚園に行っても元気に過ごせているようです。
以前より落ち着いて遊べているようにも見え、このときサクちゃんの転園は正解だったんだと思いました。
保育士として、転園を悩む保護者に伝えたいこと
転園は悪いことじゃない
保護者が「環境を変えた方がいいのかな」と思うのは、それだけ子どもを大切に思っているからです。
今の園に相談してOK
保育士は“敵”ではありません。
話してみて初めて気づけることも多いので、遠慮なく相談してほしいです。
保育士は発達の度合いが良く見える
発達の凸凹が少しでも気になったら、保育園の先生に意見を聞いてみてください。
保育園の先生は同じ年齢の子どもたちを、良い意味・悪い意味比較しながら、かつ俯瞰して見ているので、発達の凸凹が見えやすいのは事実です。
まとめ:転園を恐れることなかれ
転園を考えるのは決して間違いではありません。
保育士として、そして保護者として言えるのは、どの選択でも“子どもを思っての迷い”は必ず子どもに良い方向へつながるということ。
迷ったときは、一人で抱えず、ぜひ一度、通園中の保育園の先生に相談してみてくださいね。
保育園の転園については、下の記事も参考になります。



