保育士として働いています。
朝、保育園に登園したものの、仕事中にかかってくる保育園からの電話。
出る前から胸がざわつき、「もしかして…」と覚悟する方も多いのではないでしょうか。
実際、発熱や下痢によるお迎え要請は、いわゆる「保育園の洗礼」として多くの家庭が経験します。
この記事では、
- 保育園からお迎え要請が来るまでの全体の流れ
- 発熱があった場合の具体的な判断プロセス
- お迎えまでの子どもの過ごし方
- 翌日の登園ルール
を、現場で実際に行われている対応をもとに解説します。
※体調不良児への対応は園により異なります。あくまで一例として参考にしてください。
保育園からお迎え要請が来るときの流れ
保育園からのお迎え要請は、思いつきで行われているわけではありません。
多くの園では、次のような共通した流れで判断されています。
お迎え要請までの全体フローチャート

このフローチャートは、体調不良の兆候が見られてから保護者へ連絡するまでの一般的な流れをまとめたものです。
発熱がある場合だけでなく、
- 目やにが多い
- 下痢が続く
- 咳が止まらない
など、発熱を伴わない症状でも検討対象になります。
先生たちが体調不良に気が付くタイミングはいつ?
保育士たちが園児の体調不良に気付くタイミングは、主に次の2つです。
保育中の視診・触診で気付く
保育中に体調を崩す場合、保育士たちは朝の登園の時点で何かしらの異変を感じています。
登園時点で、
- なんとなく元気がない
- 首元や背中がいつもより熱い
- 表情がぼんやりしている
といった違和感を覚えることは少なくありません。
保護者からは「家では元気でした」と聞くことが多いですが、保育を続ける中で、給食前後や午睡前後に症状がはっきりしてきます。
その結果、お迎え要請を検討する流れになります。
定期検温で気付く
保育園では体調に関わらず、全園児が毎日決まった時間に検温をします。
多くの保育園では、
- 登園直後
- 午睡(昼寝)明け
の1日2回です。
発熱していても食欲も顔色も変わらずに、元気いっぱいという子もいますよね。
見た目は元気でも、午睡明けの検温で「38℃を超えていた」というケースは珍しくありません。
初めての園生活では、こうした頻繁なお迎え要請を経験する家庭も多く、「保育園の洗礼」と感じることもあります。
初めての園生活で戸惑いやすいポイントはこちらの記事で紹介していますよ。
発熱があった場合のお迎え要請フロー
発熱時は、特に慎重な判断が求められます。
発熱時のお迎え要請フローチャート

多くの園では、
- 37.5〜38.0℃以上
- 本人がつらそう
- 食欲・活動量の低下
といった複数の要素を総合して判断します。
※発熱基準は園によって異なります。37.5℃と定めている園、38.0℃という園など。
下の記事ではインフルエンザがどのように広がっていくか図解しています。
また、保育園におけるインフルエンザ時の登園停止・出席停止の考え方はこちらで紹介していますよ。
今日は預けていい?迷ったときの判断ポイント
朝の時点では元気そうに見えても、「今日は預けていいのかな?」と迷う場面は少なくありません。
特に多いのが、次のようなケースです。
- 朝、元気だが微熱がある
- 下痢が1回だけ出た
ここでは、保育士の立場から「迷いやすいポイント」を整理します。
朝は元気だが微熱がある場合
朝の時点で微熱(37℃台前半)がある場合、「様子を見て登園させるかどうか」で悩む保護者は多いです。
保育園では登園時に検温をします。
検温と当時に視診も行っていて、次のような点を観察しますよ。
- 機嫌はいつも通りか
- 顔色が悪くないか
- 怪我がないか
- ぐったりしていないか
- 体調面で気になる発言がないか
- 食欲があるか・朝食の有無

毎日、せんせー達は検温しながら、話しかけてくる。

せんせーが私のお腹を見て「昨日はこのブツブツなかったと思う」って話してる。
朝の視診で気になる点がある場合は、「これから熱が上ってくるかも」と保育士の間で話をしたりしています。
実際、そのとおり、給食の時間頃になると「顔が赤く・・お熱上昇」といったことが少なくありません。
上記で説明した24時間ルールも加味しながら、今日は仕事を調整できるかも含めて判断できると安心です。
下痢が1回だけ出た場合
下痢が1回だけの場合、必ずしも登園不可になるとは限りません。
ただし、保育園では次の点を見ています。
- 下痢の内容(水のような便かどうか)
- 短時間で繰り返していないか
- 食欲や元気があるか
朝の時点で1回だけ下痢があり、その後落ち着いている場合は、状況を伝えたうえで登園する家庭もあります。
迷ったときは、登園時にそのまま伝えることが大切です。

せんせーが僕のウンチ見て「今朝は何を食べたんだ?」ってバタバタ連絡帳を確認しに行ったぞ。
園でインフルエンザが流行している場合
- 原則、保育園は休園しない
- ただし感染した場合は出席停止期間あり
インフルエンザにおける保育園への出席停止日数・登園再開基準の詳細はこちらの記事で解説しています。
お迎えを待つ間の子どもの過ごし方
保育園から保護者にお迎え依頼の電話をしたあと、体調不良の子どもたちは休息をしながらお迎えを待ちます。
事務室(園長室)で過ごす
集団生活の場である保育園では、
- 本人の安静
- 他の園児への感染予防
の両方を考慮します。
そのため、可能であれば事務室(園長室という名前のこともある)など別室で休ませます。
ただし、事務室が休息と感染予防に最適な環境だからという理由ではなく、保育対応できる現実的な場所だからです。
体調不良児を別室で他児と離して保育しようとすると、その子を保育するための人員がもう一人必要になるという問題が生じます。
事務室ならひとまず、園長や主任など誰かしら保育できる人員がいるからという理由ですね。
体調不良児が事務室にやってくると、園長や主任は本来の管理職業務をストップさせて保育に回っていますよ。
移動せず保育室内で過ごす
事務室が無人という日も少なくありません。
このような場合は、保育室内で他のお友達と過ごしながらお迎えを待つことが多いです。
- 保育室の隅に布団を敷く
- 他児と距離を取る
- 絵本を読んだり休息しながら過ごす
といった形で対応します。
下痢だけでお迎えってあり?!
体温という数値は、お迎え要請の基準として明快ですね。
一方、下痢症状は発熱と比べると判断が分かれやすいです。
- 下痢1回でお迎え要請が来る場合
- お迎え要請はなく状況報告のみされる場合
- 下痢複数回でお迎え要請になる場合
など、職員数や園内での感染症の流行具合によって対応は変わります。
同じ保育園でも、その日に職員数が少なく手薄な場合は、「下痢だから早めに帰ってもらおう」ということはあり得ます。
発熱した翌日は登園できる?【24時間ルール】
保育園には「24時間ルール」と呼ばれる決まりごとがあります。
発熱した場合「解熱後24時間は登園できない」というルールです。
これは各保育園が決めたルールではなく、厚生労働省作成の「保育所における感染症ガイドライン」に基づく処置です。
登園を控えるのが望ましい場合
24 時間以内に 38度以上の熱が出た場合や、又は解熱剤を使用している場合。
引用:保育所における感染症ガイドライン/厚生労働省・こども家庭庁
例えば、保育中に38.3度を記録し、お迎え要請に基づき降園したとします。
残念ながら、その日のうちに熱が下がっても、翌日は原則お休みとなります。
一度発熱してしまうと最短でも24時間登園できなくなってしまうのです。
共働き家庭では大きな負担になるため、発熱基準に達する一歩手前でその日は保育園を休み、休息する家庭もありますよ。
共働き家庭が備えておきたい現実的な対策
現実的な対策として家庭でできることには、病児保育の事前登録や家庭用ケア用品の準備があります。
病児保育の事前登録
急なお迎え要請が入ったとき、毎回いちばん困るのが「このあとどうするか」です。
仕事をすぐに休めない場合や、翌日も看病が必要な場合に備えて、病児保育サービスの事前登録をしておく家庭も増えています。
病児保育の提供先には次のようなものがあります。
- 自治体の提供する病児保育
- キッズライン(病児保育対応サポーター検索)
- ポピンズシッター(病児・病後児保育対応)
※ここからは「お迎え要請を減らす」「帰宅後に慌てない」ための現実的な備えです。
自宅で使える体調管理グッズ
「もしこのまま登園したらお迎え要請が来るのか?」
朝、判断するときに使える体調管理グッズや帰宅後のケアが楽になるアイテムを常備しておきたいところです。
保育園と同じ体温計
朝、自宅で検温し「登園できる」と判断して保育園に行ったものの、登園直後の検温で「38.0度です、お預かりできません」と帰されてしまう・・
「うそー、自宅では37.4度だったのにー」と、途方に暮れながら帰宅。
ということもあるあるです。
このようなことを少しでも減らすには、保育園で検温するときにつかう体温計と近しい体温計を自宅でも使うのがおすすめです。
保育園でも様々なタイプの体温計を使っていますが、このオムロンの体温計を使っている保育園も多いです。
文字盤が大きく見やすいので、数字が読める年齢の子は自分で検温して数字を保育士に報告するといったことができるからですね。
非接触の体温計も便利ですが、位置や測り方によって大きく数字がぶれるので、「登園してみたら帰された」という事態を避けるという目的にはおすすめしません。
経口補水液
お迎え要請があったら、あとはゆっくり静養して一刻も早い復帰を願うだけです。
帰宅後、すぐに給水できる飲みやすい経口補水液を常備しておくのも良いでしょう。
3か月から飲めるイオン飲料。
アイス枕
解熱の効果は限定的ですが、楽に過ごしてもらうという目的のために、保育園でも使うことが多いのがアイス枕です。
アイス枕でひんやりしながら横になってお迎えを待ちますよ。
保護者が体調不良のときはどうなる?
子どもが体調を崩すと、保護者自身も体調不良に陥るというケースは珍しくありません。
- こどもが体調不良・保護者も体調不良
この場合は、こども本人の体調がすぐれないため、登園を控えます。
- こどもは体調良好・保護者だけ体調不良
この場合の対応は、保育園・家庭によって判断が様々です。
- こどもは登園・体調良好な家族に送迎を代行してもらう
- こどもは元気だが保育園を休ませる
- こどもは登園・体調不良の保護者が無理して送迎する
保育園として1と2は問題ありません。
ただし、家族が体調不良の場合、園児本人にも感染する可能性が高いので「できれば登園を控えて欲しい」というお願いをされることはあるでしょう。
園児全員の健康を守るという観点から、3の「体調不良の保護者が無理に送迎」はおすすめしません。
その場合は、是非、保護者が体調不良だが自分しか送迎できないと保育園にご連絡くださいね。

せんせー、パパお熱だからこれから病院行くって。
保育園の基本的な考え方は「子どもの安全・健康が最優先」です。
保護者は園舎に入らないようにしながら、玄関先で子どもをお預かりするなどの対応ができることがあります。
保護者が体調不良のときの保育園対応について詳しくは、こちらの記事で紹介しています。
まとめ|お迎え要請は子どもを守るための仕組み
仕事中にかかってくるお迎え要請の電話は、誰にとってもつらいものです。
しかし、
- 子どもの体調悪化を防ぐ
- 園全体への感染拡大を防ぐ
ために欠かせない判断でもあります。
流れや基準を事前に知っておくことで、 「突然の電話」にも落ち着いて対応できるようになります。







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