共働きの現役の保育士です。
保育園に入園したものの担任の先生から「◯◯ちゃん、保育園のご飯を全く食べないのですが」などと報告を受けることもあるでしょう。
そのような報告を聞くと、家ではよく食べるのにと不安になってしまいますね。
今回は、保育園の給食を食べない理由、給食を食べない子に対し先生が取る行動、親呼び出しの可能性まで、現役保育士の立場で解説します。
子供が保育園のご飯を食べない理由
新しい環境に慣れていない
入園直後の慣らし保育からバクバク給食を食べる子どもの方がまれです。
給食どころか、登園初日は水分すら摂取できない子も少なくありません。
0歳児クラスの場合だと、麦茶入りのマグを持参してもらっても、飲めないことが多いので、保育園に慣れるまでは保育士がスプーンなどで水分補給をすることが多々あります。
感覚的には5割の0歳新入園児がこのパターンです。
新しい環境への慣れの早さは個人差があります。保育園に慣れないという理由で給食が食べられないのなら長い目で待ってみるべきです。
お腹が空いていないので食べられない
保育園の給食の時間は、0歳から2歳児クラスで11時頃、3歳児以上クラスで11時30分頃から食べ始めです。
11時台の昼食というと家庭での感覚では早いと感じませんか?
0歳から2歳児クラスでは、さらに9時頃の朝おやつもあります。
朝食との間隔が空いていないため、そもそも空腹を感じていないので給食を食べないという原因が考えられます。
また、夜の就寝時間が遅いと生活のリズムが乱れるため、このような子に給食が食べられなかったり、給食の途中で寝てしまったりする子が多いですね。
市販のベビーフードばかりを食べている
市販のベビーフードは1歳過ぎの子ども用だとしても加工でん粉などで十分なとろみが付いています。
市販品なので、子どもが良く食べるようにたくさんとろみを付けて食べやすくしているのですね。
一方、保育園での離乳食は家庭調理の場合と同様で、十分柔らかく調理してあるものの、不必要なとろみは付いていません。
このため、家庭で市販のベビーフードばかりを食べている場合、保育園の離乳食は食べられないという事態に陥ります。
保育園での給食が始まる前に、お家でも家庭調理した離乳食を食べられるようにしておくことをおすすめします。
食への興味がない
保育園だけではなく家庭でもあまり食べない場合は、食事に興味がないか、そもそも食が細いため給食も食べられません。
このような子どもの場合、入園直後だと保育士は家庭での食事量をまだ把握できていないため、給食だけ食べないのかと迷うことがあります。
降園時などに「お家ではどのくらい食べていますか」と聞かれることも多いでしょう。
そもそも食が細い子の場合、「自分で食べきることができた」という満足感を得られるように、保育士はその子が食べ切れる量を配膳します。
入園直後には家庭と保育園との連携を密にし、その子にとっての最適な給食の量を決めていくプロセスが必要です。
嫌いな食材がある
野菜類など多くの子どもが嫌がる食材は、保育園でも食べない子どもが多いです。
そのような食材は、家庭内ではハンバーグなどに紛れ込ませて分からなくしたり、そもそも量を減らしたりしていることでしょう。
一方、保育園では、基本的にはサラダやおひたしなど、野菜そのものの味を楽しむためのメニューで野菜が提供されることが多いです。量も多いです。
家庭内の食事と保育園の給食が違うのは、保育園では嫌いな食材でも必ず配膳はするということです。
園児の食欲に応じて盛り付ける量の調整をするものの、園児1人あたりに提供される給食の量の基準は決まっています。
また、おかわりまでする子も食が細い子も給食費は同一です。
このため、保育士は絶対に食べようとしないであろう食材であっても、必ず配膳はします。
好き嫌いが多い子であっても過度な心配は不要ですよ。周りのお友達が食べているのにつられるのか、家庭では食べないのに保育園では頑張って食べているという園児も多いです。
食べるより寝たい
0歳児は保育園でも午前寝をしますが、その後、午前寝が必要かの判断には個人差があります。
1歳児クラスになるとほとんどの子が午前寝をしませんが、2歳を過ぎても午前中や給食中に寝てしまう子も。
どうしても眠さが勝ってしまうと給食は食べてくれません。
子供が保育園でだけおやつを食べない理由
家庭ではおやつを食べるのに保育園では食べないという場合、給食の場合と同様の理由の他、おやつが好みではないという場合があります。
「おやつ」というと甘味のあるお菓子などを想像しますが、保育園では補食としてのおやつの役割を重視しています。
前日のおやつがクッキーやケーキだとしたら、翌日はおにぎりなどにし摂取カロリーに配慮しています。
朝おやつでは人参やブロッコリーなどの温野菜の日も多いです。
子どもは甘味を好む傾向があるため、「保育園のおやつ=甘くなくてガッカリ」となりがちです。
とある週の保育園での3時のおやつは次の通りです。
火曜日:バナナ、牛乳
水曜日:リンゴ蒸しパン、牛乳
木曜日:わかめご飯
金曜日:ポップコーン
家庭でのおやつと比較して、かなり甘味を控えた内容になっているのではないでしょうか。
給食を食べない子に対し先生はどう対応している?
給食を食べない子に対し、先生たちはどのように対応しているのでしょうか。食べない子に対する対応は園全体の方針というよりは、個人差が大きいと感じます。
一口でもいいから食べるように促す
きのこが全く駄目、ナスが駄目・・など子供が嫌いな食材は様々です。
中には、子供なら皆大好きかと思われる”ケーキ”がどうしても苦手という子もいます。
そのような食材については、きのこを1つだけでもいいから食べる、ナスを一口だけ食べたらおしまいというように促すという先生が多いです。
盛り付けてある分を食べてから他のおかずを食べるように促す
野菜が嫌いな子の場合など、減らしてあるとはいえ、目の前に配膳されたサラダを全量食べないと他の白飯や肉類などのおかずは食べてはいけないと制限する先生もいます。
このような場合は、サラダを食べなかった場合は、結局何も食べられずに給食が終わってしまいます。
認可園の場合は、厚生労働省が定める「楽しく食べる子どもに~保育所における食育に関する指針」を守る必要があります。例えば、2歳児の項目にはこんなことが指針として書いてあります。
いろいろな種類の食べ物や料理を味わう。
”いろいろな”と言われても、実際は食材の好き嫌いがあるのが現実。
指針があるとはいえ、無理やり食べさせる対応は不適切保育にあたり、筆者は保育士側が対応を改めるべきと考えます。
給食を食べなかった場合呼び出し?
保育園での初めての給食から完食してしまうような子はまれです。月齢が低いうちは特に、一口も給食を食べられなかったということも少なくありません。
保育園によっては給食を全く食べなかった場合、お迎え要請の電話をする場合もあるようですが、午前中から水分すら取れなかったなど他の理由も含んでいるはずです。
筆者が勤務する園では、給食を食べなかったという理由だけではお迎え要請はしていません。
ただ、入園当初は体調を崩しやすいこともあり、給食以外にも気になる点があれば保護者に電話で報告することがあります。
まとめ
保育園の給食を食べない理由、給食を食べない子に対し先生が取る行動、親呼び出しの可能性まで、現役保育士の立場で解説してきました。
家庭での食事と保育園での給食では、食べさせ方や段取りの部分が大きく違うため、保育園での配膳の仕方などを担当保育士に聞いて見るのも良い方法です。
保育園の給食を食べない場合、保育園での食べ方のうち、家庭でも取り入れられる部分があれば取り入れて慣れておくのもおすすめです。
また、給食のエプロンをお気に入りの柄にするなど、給食が楽しみになる工夫も家庭でできることです。
長袖のエプロンなど着けるのに手間がかかるエプロンなどは、食に対する意欲を削ぐきっかけにもなります。
子供が自分で着けやすく柄がお気に入りを選んであげるのがおすすめですよ。
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